2011 Fiscal Year Annual Research Report
歯根膜血管組織の遺伝子発現様相から効率的な歯の移動を評価する研究
Project/Area Number |
22592301
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
野田 晃司 鶴見大学, 歯学部, 教授 (10148059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 芳樹 鶴見大学, 歯学部, 教授 (10097321)
新井 千博 鶴見大学, 歯学部, 助教 (10460221)
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Keywords | 歯の移動 / 断続的矯正力 / 歯根膜 / 血管組織 / VEGF / bFGF / SAPK/JNK / ICAM-1 |
Research Abstract |
今回の実験では、血管再構築が十分に行われる期間を考慮し、6、12時間(h)、1、3、7、10、14、21日間(d)の8群を実験期間とし、VEGF、bFGFを再度、合わせてSAPK/JNK、ICAM-1について免疫組織化学を行った。検鏡部位は、咬合平面と直交する切片において歯根膜の圧迫程度が歯根膜幅径の1/3程度思われ、相当部に変性組織の認められる上顎第一臼歯舌側遠心(LD)根と圧迫程度が2/3程度で、変性組織の認められない舌側中央(LC)根とした。 VEGFについて、強い染色性が破骨細胞、macrophage様細胞、骨髄細胞に、弱い染色性が対照群および実験群の歯根膜全体に認められた。形態的に7dと10の圧迫領域に強い染色性を示す細胞が比較的多く認められたが、1/3と2/3圧迫領域との間には明らかな差は認められなかった。bFGFについて、血管周囲のマクロファージ様細胞の他、破骨細胞や神経組織にも強い染色性が認められた。実験群では、12Hと1dのLC根圧迫側歯根膜全体に染色性の増加が認められた。また、LC根の14dとLD根の10dと14dに強い染色性を示す細胞が多く認められた。SAPK/JNKについて、強い染色性を示すSAPK/JNK陽性細胞が歯根膜全体に散在して認められた。その他、破骨細胞にも比較的強い染色性が認められた。圧迫歯根膜領域では陽性細胞数が少ないように思われたが、対照群との差は不明であった。ICAM-1について、強い染色が血管内皮細胞に認められ、明瞭な血管構造の確認と他組織との明瞭な区別を観察することができた。同様の染色は歯髄組織やHarvers管内血管にも認められた。強い染色性のみを示す細胞がLC根圧迫側の10dおよびLD根の7Dと10dに認められた。 これは血管新生の末端(vasculogenesis)と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯根膜再構築に対する血管再生の関わりの観点から、実験期間を一部見直した。具体的に、歯の移動後1、3時間の実験群を削除し、新たに14、10、21日間の実験期間を追加し、再度実験を行った。予定した実験はすべて済んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、対照群および6、12時間(h)、1、3、7、10、14、21日間(d)の8実験群の合わせて9群に対し網羅的遺伝子解析を行う予定である。今回の資料は4% parafolmaldehydeで固定を行っているために、以前の未固定資料(対照群)との比較を行い、固定群と未固定群の遺伝子発現様相の違いについて慎重な比較検討をおこなう必要があると考えている。また、今回行った免疫組織化学の形態所見との整合性についても過去の文献所見をふまえ検討する予定である。
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