2012 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムメチル化プロファイルによる歯周炎とリウマチの共通発症機序の解明
Project/Area Number |
22592309
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小林 哲夫 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (00215344)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 歯周炎 / リウマチ / メチル化 / タンパク質 |
Research Abstract |
本研究の目的は、歯周炎患者と関節リウマチ患者の全身および局所の単核細胞ゲノムを対象に、インターロイキン6(IL-6)遺伝子のゲノムメチル化の頻度とコードタンパク発現とを同時に解析して、2つの疾患の共通発症機序を解明することである。 本年度は第3段階として、インフォームドコンセントが得られた対象者数を更に増やして(歯周炎患者15名、健常者10名)末梢血液および歯肉組織を採取し、血液単核細胞と歯肉組織由来ゲノムDNAのIL-6遺伝子プロモーター領域のゲノムメチル化強度を比較した。 歯肉組織片および末梢血液からゲノムDNAを抽出した後にバイサルファイト処理を行い、IL-6遺伝子プロモーター領域のプライマーを用いてPCR増幅後、ダイレクトシークエンスにて塩基配列を解析した。 その結果、IL-6遺伝子プロモーター領域の計19のCpG部位のうち、両群とも9CpG部位(-1099 bp, -1096 bp, -1094 bp, -1069 bp, -1061 bp, -1057 bp -1001 bp, -491 bp, -227 bp)においてメチル化を検出した。これらのうち、-491 bpにおける健常者群の歯肉組織のメチル化強度は血液の場合と比べて有意に低下していた。同様に、-491 bpにおける歯周炎患者群の歯肉組織のメチル化強度も血液の場合と比べて低下傾向にあった。 メチル化強度の低下によってIL-6遺伝子の発現活性は高まりIL-6産生が促進されることから、今回の結果より、歯肉組織では末梢血液と比べてIL-6遺伝子活性が高まり、IL-6産生促進による炎症惹起の可能性が示唆された。これらの結果は、IL-6遺伝子のメチル化解析が、将来的に、歯周炎感受性診断の一助になることを示唆しており、歯周炎の診断学において重要な結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
末梢静脈血・歯周組織片のメチル化解析とコードタンパク測定に必要な患者および健常者由来の臨床検体を確保できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
IL-6遺伝子のメチル化強度とコードタンパク発現との同時解析のため、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)およびELISA法によるIL-6産生測定を行う。更に、腫瘍壊死因子(TNF)も歯周炎と関節リウマチに共通する病因であることから、TNF-alpha遺伝子についても同様なメチル化解析を行う予定である。
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