Research Abstract |
UMR106骨芽細胞様細胞をフラボノイドであるKaempferol (0.05, 0.5, 5および50μM)で12時間刺激すると,骨シアロタンパク質(BSP)mRNA量は,5μMのKaempferol刺激で増加し,5μMのKaempferolで経時的(3,6,12,24時間)に刺激すると,BSP mRNAの発現は12時間後に最大に達した。Real-time PCRによる検索の結果,Runx2とOsterix mRNAの発現は刺激6および12時間後に上昇した。ラットBSP遺伝子プロモーターの長さを変化させたルシフェラーゼプラスミドをUMR106細胞に導入し,Kaempferol(5μM)で12時間刺激すると、PLUC3(-116~+60塩基対)およびそれよりも長いプロモーター配列を含むコンストラクトで,Kaempferol刺激により転写活性が増加した。一方,pLUC1(-18~+60塩基対)およびpLUC2(-43~+60塩基対)では転写活性は変化しなかった。BSP遺伝子プロモーターの-116~+43塩基対上流の間には,逆方向のCCAAT配列(-50~-46塩基対上流),cAMP応答配列(CRE;-75~-68塩基対上流),Runx2結合配列(-84~-79塩基対上流),FGF2応答配列(FRE;-92~-85塩基対上流)および下垂体特異的転写因子応答配列(Pit-1;-111~-105塩基対上流)が存在する。逆方向のCCAAT, CREおよびFRE配列の1~3か所に2塩基対の変異を挿入したミューテーションプラスミドを用いてルシフェラーゼアッセイを行ったところ,上記の3配列がKaempferolに応答する配列であると考えられた。ルシフェラーゼアッセイの結果より,ラットBSPプロモーター中のKaempferolに応答すると考えられるCCAAT, CREおよびFRE配列とKaempferol (5μM)刺激したUMR106細胞からの核内タンパク質との結合を,ゲルシフトアッセイにて検索した結果,逆方向のCCAAT配列に結合する核内タンパク質の結合量は,Kaempferol刺激により変化しなかったが,CREおよびFRE配列に対する結合は,Kaempferol刺激後3時間に増加した。抗体を使用したゲルシフトアッセイの結果,ccAAT配列にはNFYAが,cRE配列にはリン酸化cREB, c-Fos, c-Jun, JunDおよびFra2が,FRE配列にはRunx2, Dlx5およびMsx2が結合することが明らかになった。
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