2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規合成ペプチドを用いた歯槽骨再生誘導治療戦略の構築
Project/Area Number |
22592324
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
上田 雅俊 大阪歯科大学, 歯学部, 名誉教授 (00067117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 洋一郎 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (60434792)
田中 昭男 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (10121823)
富永 和也 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (80278572)
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Keywords | エナメルマトリックスデリバティブ / 合成ペプチド / 骨髄細胞 / 硬組織分化誘導 |
Research Abstract |
現在市場に流通している幼若ブタの歯胚から抽出されたエムドゲイン[〇!R]は,歯周組織再生療法で広く臨床応用されているが,生物由来のため,患者からの拒否感も強く,生物に由来しない合成ペプチドの開発が望まれる。本研究では,過去の研究から得た成果をもとに作製した新規合成ペプチドに対するラット骨髄細胞の初期の増殖能・接着能・遊走能をもとに至適濃度を策定し,その濃度においての硬組織誘導能を明らかにすることである。 生後7週齢のSD系雄性ラットの両側大腿骨から骨髄細胞を採取し,3代目を実験に供した。細胞増殖・接着・遊走については5種の濃度で測定し至適条件を策定した。その至適濃度の合成ペプチドを10mM β-グリセロン酸ナトリウムと82μg/mlアスコルビン酸,10-8Mデキサメタゾン含有の分化誘導培地に懸濁させ骨髄細胞に応用し,対照として合成ペプチドを含まない培地を用いた。そして培養開始後14日後のアルカリフォスファターゼ活性および細胞内のカルシウムの産生量を測定し,硬組織の誘導能について検討した. 5種の濃度のうち細胞増殖,接着,および遊走能は100ng/mLの合成ペプチドの刺激時に最も高い値を示すことより,100ng/mLの濃度が至適とした。100ng/mLの濃度での応用において,培養開始後14日後の実験群のアルカリフォスファターゼ活性の発現は対照群と比較して有意に高く,細胞内のカルシウムの産生量も高かった。 以上のことよりEMD由来の合成ペプチドは分化能を有する骨髄細胞の増殖,接着および遊走能を促進し,その後の硬組織への誘導も促進するものと考えられることから,間葉系の未分化の歯周組織の細胞にも同様の作用を有することが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroの実験計画については主に終了しており,現在は得られたデータの整理,統計解析を行なっている。また最終年度の臨床模擬試験に向けて条件策定中である。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivoの実験計画,すなわち合成ペプチドと細胞を生体内に埋入する条件を現在策定している。染色については,当講座に所属している大学院生が行なった研究において抗TypeIcollagen抗体と抗osteopontin抗体の免疫染色とPAS染色の安定性を確認しており,HE染色と平行して行なう予定をしている。また合成ペプチドと細胞を保持するためのスキャホールドについても生体内での安定性と過去の様々な研究報告との比較を検討できるように行なっている。
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