2010 Fiscal Year Annual Research Report
胃瘻栄養者の下痢や誤嚥性肺炎予防に食感覚を応用するための基礎的検討
Project/Area Number |
22592326
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
服部 佳功 東北大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (40238035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 智昭 東北大学, 病院, 助教 (50312591)
小嶺 祐子 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (00431586)
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Keywords | 胃瘻栄養 / 下痢 / 誤嚥性肺炎 / 食感覚 / 咀嚼 |
Research Abstract |
胃痩栄養者に現れる下痢などの下部消化管症状や誤嚥性肺炎は、高齢者介護現場の深刻な問題である。口腔や食道に感覚を惹起することなく注入される流動食が胃で適切に受容されず、滞胃時間が過度に短縮もしくは延長するとき、前者は下痢を、後者は食道逆流やそれに継発する誤嚥性肺炎を、それぞれ誘発すると推察される。本研究の目的は、胃痩栄養者に摂食時と類似する口腔感覚刺激を与えることで、経口摂食時に現れる消化管の反応を擬似的に惹起し、流動食の適切な受容と消化吸収を促す臨床手段の開発に向けた、基礎的検討にある。 初年度である本年度の検討課題は消化管の反応を惹起しうる口腔感覚刺激の特定である。この課題の遂行には、消化管の反応を的確に把握する手段が不可欠だが、本研究で非侵襲的に胃運動を計測する方法として採用した胃電図には、いまだ標準的な解析方法や評価基準が示されていない。0.005~0.1Hzのバンドパスフィルタを備えた増幅器を用いて経皮的に導出し、サンプリング周波数5Hzでデータロガーに記録した胃電図の周波数に離散フーリエ変換アルゴリズムを応用し、Sternらの報告に準拠して、速波と徐波を含めた胃電図全帯域(0~0.15Hz)および正常波帯域のみ(0.033~0.067Hz)のパワー値を、5分間毎に算出した。両パワー値の経時変化ならびに全帯域パワー値に対する正常波パワー値の比に基づき、胃運動を評価する方法を検討した。この検討には、健常な若年成人より軽食程度の食事摂取の30分前から食後240分までの期間にわたって導出した胃電図記録を用いた。その結果、食前空腹期の正常波パワー値の平均に標準偏差の2倍を加えた値を閾値として、正常波パワー値が閾値を超えた時間の記録期間に対する比率を評価指標に用いる方法の妥当性が確認された。
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Research Products
(5 results)