2011 Fiscal Year Annual Research Report
胃瘻栄養者の下痢や誤嚥性肺炎予防に食感覚を応用するための基礎的検討
Project/Area Number |
22592326
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
服部 佳功 東北大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (40238035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 智昭 東北大学, 病院, 助教 (50312591)
小嶺 祐子 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (00431586)
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Keywords | 胃瘻栄養 / 下痢 / 誤嚥性肺炎 / 食感覚 / 咀嚼 |
Research Abstract |
胃痩栄養者に現れる下痢などの下部消化管症状や誤嚥性肺炎は、高齢者介護現場の深刻な問題である。口腔や食道に感覚を惹起することなく注入される流動食が胃で適切に受容されず、滞胃時間が過度に短縮もしくは延長するとき、前者は下痢を、後者は食道逆流やそれに継発する誤嚥性肺炎を、それぞれ誘発すると推察される。本研究の目的は、胃痩栄養者に摂食時と類似する口腔感覚刺激を与えることで、経口摂食時に現れる消化管の反応を擬似的に惹起し、流動食の適切な受容と消化吸収を促す臨床手段の開発に向けた、基礎的検討にある。 本年度直前の平成23年3月に東日本大震災が発生し、研究施設や協力施設の位置する宮城県は沿岸部を中心に甚大な被害を蒙った。協力施設である老人保健施設の罹災損傷は幸い軽微であり、2ヶ月を経ずして震災前の機能を回復したが、沿岸部などの機能不全に陥った施設の入所者を受け入れるなどの必要から業務が逼迫し、入所者を被験者に用いる本研究への協力が困難な状況が長らく続いた。加えて本研究の初期の成果を投稿に対し、編者より研究デザインの一部改善が求められたことから、第3年度以降の研究に向けた基礎的検討を初年度に続いて行った。 0.005~0.1Hzのバンドパスフィルタを備えた増幅器を用いて経皮的に導出した胃電図の、速波と徐波を含めた全帯域(0~0.15Hz)、ならびに正常波帯域(0.033~0.067Hz)のパワー値を5分区切りで算出し、両パワー値の経時変化ならびに後者の対前者比に基づいて胃運動を評価する方法と、日本語GSRSによる消化管症状の主観的評価に加え、食欲、空腹感、悪心などの問診、排便回数、排便間隔、ブリストル・スケールによる便性状の評価を加えることとし、若年成人を被験者に用いたテスト・ランを反復実施に基づいて、方法の妥当性の確認に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度直前の平成23年3月に東日本大震災が発生し、研究施設や協力施設の位置する宮城県は沿岸部を中心に甚大な被害を蒙った。協力施設である老人保健施設の罹災損傷は幸い軽微であり、2ヶ月を経ずして震災前の機能を回復したが、沿岸部などの機能不全に陥った施設の入所者を受け入れるなどの必要から業務が逼迫し、入所者を被験者に用いる本研究への協力が困難な状況が長らく続いた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、施設入所者を被験者に用い、施設職員の協力を得て行うことから、多数の被験者について一斉に検討を行うことが困難である。そこで、選択基準を満たした施設入所者や協力者である施設職員の離開と協力が得られ次第、当該者を被験者とする検討を、随時行う方法を採用した。その際、一定のプロトコルを採用することが重要であり、本年度の検討でそれを確立できた。進捗の遅滞に対しては、次年度以降、被験者の採用に鋭意努力することで対応する予定である。
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Research Products
(2 results)