2010 Fiscal Year Annual Research Report
プラーク細菌叢の網羅的解析結果を基盤にした成人齲蝕病因論の新たな進展
Project/Area Number |
22592337
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柴田 幸江 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教 (30274476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 喜久 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (20192403)
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Keywords | 齲蝕 / デンタルプラーク / 細菌叢 / T-RFLP法 / クローンライブラリー法 |
Research Abstract |
先の萌芽研究により、鯖蝕経験のない群と齲蝕経験の多い群とでそれぞれのプラークの細菌叢に有意な違いがあることが明らかとなり、さらに、齲蝕経験のない群のプラーク細菌叢では齲蝕経験の多い群に比べて、X属の細菌の占める割合が大きいことがわかった。本研究では、まず、X属の細菌に着目し、両者のプラークにおけるX属の細菌種の分布を調べた。X属には数種類の菌種が知られている。X属に特異的な16S rRNA部位の配列をプライマーとして設計し、先の萌芽研究の各被験者のDNAをテンプレートとして16S rRNA遺伝子断片を増幅し、クローンライブラリーを作製した。齲蝕経験のない9名と齲蝕経験の多い10名に対して各々10クローンずつ抽出し、塩基配列を決定してその細菌種を特定したところ、齲蝕経験のない群については9名中8名から1菌種のみが検出され、残りの1名からは2菌種が検出された。さらに興味深いことに、8名から検出された菌種はすべて同一のものであった。一方、齲蝕経験の多い群では、10名中7名から複数の菌種が検出され、そのうち2菌種が検出されたのが5名、3菌種が検出されたのが2名であった。齲蝕経験のない群と齲蝕経験の多い群のプラーク細菌叢では、X属の細菌の構成割合が異なるのみならず、細菌種の分布にも違いがあることが明らかとなった。 次に、被験者からのX属細菌種の分離同定を試みた。縁上プラークを採取し、コロンビアCNAヒツジ血液寒天培地に塗沫し、コロニー形態を参考にして釣菌し、16S rRNA遺伝子の塩基配列を決定した。分離同定を試みた14名の被験者のうち、9名からX属の細菌を分離することに成功した。
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