2011 Fiscal Year Annual Research Report
DNA多型による法歯学的個人識別精度の確実な進展を目指して
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22592345
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
水口 清 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00133380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花岡 洋一 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (30180912)
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Keywords | ミトコンドリアDNA多型 / Y染色体多型系統 / X-STR多型 / multuplex-PCR / 日本人 / マレー人 / Complex case / 変性DNA |
Research Abstract |
昨年度でおよそのデータが出揃っている日本人のmtDNA多型の全配列情報に関する論文については一部の配列の確認と、一部の試料の欠けた部分を補う作業をしており、現在投稿準備中である。またマレー人100例弱の検体についての論文もデータを纏めている段階であるが、論文投稿準備に入っている。またY染色体多型の系統については、14種類の既存のJSNPマーカーと新に発見した4種のマーカーをY染色体多型のハプログループ系統樹に当てはめ、13種類の新しいsubgroupをY chromosome haplogroup tree2008に追加し、日本人を中心とした東アジアの分類に有用な情報を追加し、投稿準備がほぼ整った。また、本年度すでに掲載された結果として、私たちが日本人について検討してきた21座位のX-STRデータを利用し、新に10座位のX-STRを同時増幅する事により、3-5ローカスから成る22座位のclosely-linked groupを作り、母を介した複雑な遺伝関係の解明に非常に有用性が高いことを示した。また、最近市販になったArgusX-12の12種類のX-STRについて283人のマレーシアのマレー人つき検討し、その集団解析を行った。その結果、マレー人のX-STRは他の東アジア、ヨーロッパ、アフリカとは傾向が異なることを示し、新しく見い出されたmicrovariantの解析も行った。この結果はすでに国際誌に受理された。さらに、母と娘を介した複雑な遺伝パターンの予測を、回収量の少ない高度変性DNAから検査可能とするため、できる限り多くのローカスを一度の検査で可能なシステムの確立を目指し、18種類のX-STRを同時増幅できる方法を確立した。このシステムは現在、厚労省の戦没者遺骨の鑑定に有用に応用しており、厚労省以外の事例への応用を含めた論文を作成し、現在国際誌に投稿中である。現状では、X染色体多型では、ArgusX-12が今後使用頻度が高まることが予想されるため、このシステムを補い1度のPCRで13ローカスのX-STR検査をすることで、情報量を格段に向上できるシステムを作製中である.以上のごとく、いくつかの分野でそれぞれ独自の結果を出しており、今後これらを纏めていくつもりである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究段階で新しい方法を見つけ出し、多少方向を変えた部分も有り、結果として論文として結果を出せるが、研究内容が増加した事により、当初の予定通りにはなっていない。ミトコンドリアDNAについては昔からデータの誤りが多いことが指摘されており、細部のデータの再確認に時間がかかってきた。Y染色体多型については論文は出来上がっていても、データベース登録などで時間がかかってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には本研究の題目にあった研究として実績は残していける。細部については、研究段階で新しい発見などがあり、その解明に時間を費やすことがあった。これは研究としては予定通りではないが、むしろ良い方向でもある。実際事例への応用に関しては、すでに非常に役立っているが、厚労省の鑑定に関しては論文データとしては直接利用しないことになっているため、他の事例を応用するなどで思ったように発表できない部分も出ている。そのため、有用性の確認はできているが、その発表をどこまでできるかは不明な部分もある。このような点は、可能な方法を模索し、できる限り努力したい。
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