2011 Fiscal Year Annual Research Report
健康長寿と口腔機能の関係 -加齢が口腔および身体機能に及ぼす影響-
Project/Area Number |
22592347
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
飯沼 利光 日本大学, 歯学部, 講師 (10246902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小宮山 一雄 日本大学, 歯学部, 教授 (00120452)
佐勝 仁 日本大学, 歯学部, 助教 (70360170)
成田 達哉 日本大学, 歯学部, 助教 (50508629)
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Keywords | 口腔機能 / 超高齢者 / 健康調査 / 健康長寿 |
Research Abstract |
本研究ではこれまで東京都港区、新宿区および渋谷区在住の85歳以上の高齢者542名の口腔および身体機能に関する健康調査を行い、その結果から超高齢者コホートの確立を試みた。そしてこの結果を基に、ヒトの長寿(加齢)と口腔状態および口腔機能の関係を調査・解析することで、質の高い高齢期を迎えるために口腔状態および機能をいかに保持すべきかについての具体的な提言を行おうとしている。 平成23年度は、分析が終了した解析結果の一部をアメリカの老年学会誌にて発表し、高い評価を得た。これは、口腔機能状態の指標のひとつである最大咬合力と、身体運動機能の指標として測定を行った握力や片足バランスおよび3m歩行時間など、四肢筋の機能活動とに有意な関連性が認められたというものである。さらにこれには男女差が認められ、この傾向は男性においてより強いものだったというものである。我々は、本結果が示す歯科医学的意義は非常に大きいと考えている。なぜなら、現在歯科医師会が中心となり8020運動が行われているが、不幸にも80歳で20本の歯を残すことができなかった高齢者においても、口腔状態および機能の維持を歯科医師と協力し行えば、身体機能の維持、向上が成しえる可能性を示しており、これは健康長寿実現のための大きな指標のひとつになり得るものと考えている。 さらに、このコホートをより総合的にとらえるため、同一の被験者を対象に経時的追跡調査も開始した。これにより口腔機能や身体的機能の変化が、超高齢者の健康状態や生死にいかに影響しているかについて詳細な検討を加えることができると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健康に社会生活を過ごしている超高齢者のコホートの確立が行えている。また、多くの調査項目および検査項目について分析が順調に進んでおり、それらの関連性についても解析が進んでいる。これらのことを通して、健康な超高齢者の日常生活の実態や、健康管理方法などについての詳細がわかりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、第一次調査を行った542名全てを対象とすることは困難であると思われるが、平成23年度に開始した追跡調査を完了させ、健康長寿達成に必要な医学的、社会学的、心理学的要因の検討を行う。 問題点は現時点ではとくに認められない。
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