2010 Fiscal Year Annual Research Report
歯科保健医療の需給量の推計と国民の口腔健康ニーズに関する研究
Project/Area Number |
22592352
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
神 光一郎 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (00454562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神原 正樹 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (90103085)
上根 昌子 大阪歯科大学, 歯学部, 研究員 (40388377)
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Keywords | 歯科保健医療の需給量 / 口腔の健康 / 口腔と全身との関連 / モチベーション |
Research Abstract |
従来、歯科疾患量の把握として行われてきた口腔診査やアンケート調査だけでは、歯科の潜在需要量を捉えられない。そこで本研究では、「歯科保健医療の需給量」と「口腔の健康」に着目し、初年度は、30歳以上の被験者に対し実際に臨床の現場で口腔内診査やアンケート調査を行うとともに、それらの方法からは把握できない歯科疾患を含めて検討するため、臨床の現場で収集可能となる有病状況や、口腔の二大疾患である齲蝕および歯周疾患に関する指標データ、X線画像などの情報から現状を把握し検討を加えた。 その結果、齲蝕処置の状況では、齲蝕完了者率が総数の40%を示すものの、現在治療中の者が62%で、未処置歯があるにもかかわらず通院せずに未治療のままの者が2%程度存在した。また、歯周疾患の状況では、女性よりも男性においてCPI個人最大コード値が大きくなる(歯周疾患の重症度が高い)傾向が認められ、また年齢階層が高くなるにつれて6mm以上の歯周ポケットの保有者の割合が増加していた。さらに、歯周疾患による水平骨吸収が認められる者は被験者全体の40%で、特に30歳以降急激に増加しており、60歳では60%以上の者で認められた。さらに、根尖病巣については口腔内の1歯以上で認められる者が40%で、なかには5歯以上保有している者も1%みられた。また、顎関節症の症状がある者は、全体の10%でどの年齢層においても女性に多くみられる傾向があった。 これらの現状把握の結果から、年々歯や口腔の健康に関心を持つ者が増加しているにもかかわらず、歯科疾患に罹患した者ではそのまま放置し歯科医療機関で診療を受けない者がみられることが明らかとなった。次年度はこれらの結果を踏まえ、口腔の健康について検討していく。
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