2010 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の咀嚼能力の向上による全身の健康状態改善・医療費抑制効果についての介入研究
Project/Area Number |
22592357
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
守屋 信吾 国立保健医療科学院, 口腔保健部, 室長 (70344520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 宏子 国立保健医療科学院, 口腔保健部, 部長 (10183625)
越野 寿 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90186669)
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Keywords | 高齢者 / 地域 / 咀嚼能力 / 栄養状態 / 体力 / 医療費 |
Research Abstract |
地域自立高齢者を対象として介入前のbaseline調査を実施し、咀嚼能力と全身の健康状態との関連性を明らかにした。821名の自立高齢者を対象とした。栄養状態の指標としてBMIおよび血清アルブミン値を用い、体力の指標として握力および開眼片足立ち秒数を用いて、咀嚼能力との関連性を検討した。咀嚼能力は、自己評価に基づく咀嚼能力(自己評価咀嚼能力)により評価を行った(良好群:何でも噛める(57.8%)、概良群:少し硬い物なら噛める(32.4%)、不良群:軟らかい物しか噛めない(9.8%))。自己評価咀嚼能力の不良群では良好群および概良群に比べ、BMIおよび血清アルブミン値が低下していた。体力においても、自己評価咀嚼能力の不良群では良好群に比べ、握力および開眼片足立ち秒数が低下していた。これらの関連性は、基本属性、体格、社会心理学的因子などを調整したうえでも成立した。関連性は、後期高齢者よりも前期高齢者においてより明瞭であった。 日常生活の活動能力を老研式活動能力指標(手段的ADL,知的活動性,社会的役割)により評価し、自己評価咀嚼能力との関連性を検討した。自己評価咀嚼能力が不良になるほど老研式活動能力指標の総合得点が低かった。自己評価咀嚼能力は手段的ADLには関連していなかったが、知的活動性および社会的役割は、自己咀嚼能力の良好群に比べ、不良群で低下することが示された。 地域自立高齢者において、「軟らかい物しか噛めない」という咀嚼能力が著しく低下している者が、約10%にみられた。これらの者では、栄養状態、体力、日常生活の活動能力が低下していることが明らかになった。以上より、咀嚼能力は栄養状態・体力・ADLに関連する重要な因子である可能性が示唆された。
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Research Products
(8 results)