2011 Fiscal Year Annual Research Report
大学における看護師教育のための看護実践力育成に関する教育モデルの開発
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22592358
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
稲葉 佳江 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90159955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大日向 輝美 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (30223944)
升田 由美子 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (50281902)
一條 明美 旭川医科大学, 医学部, 講師 (00344557)
神成 陽子 旭川医科大学, 医学部, 助教 (10292129)
田野 英里香 札幌医科大学, 保健医療学部, 助教 (90336412)
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Keywords | 看護学 / 看護実践力育成 / 教育モデル / 授業プログラム |
Research Abstract |
大学教育における看護師の看護実践力育成のための教育目的・内容の体系化と教育方法モデルの開発を目的に、今年度は文献検討のほか、これをもとに看護実践の内部構造を検討し、教育内容を確定した。さらに教育内容を具体的に教授するために授業プランを検討し作成、実施した。 文献による看護実践の検討:昨年度の文献検討の成果として、2004年以降「看護実践」を使用した文献は急増したが、概念的には未だ曖昧なものであった。そのほとんどの文献において「看護実践」は看護「援助」や「ケア」「技術」「行為」と同義語で使用され、「看護実践」の概念的検討は極僅かであった。そこで、以下の観点から研究を進めた。 1)看護実践の概念と教育内容の確定:看護実践の説明モデルの仮説(キム)及び我々の先行研究をもとに、看護実践の概念を人間の本質規定(自然性・共同体性・歴史社会性)と実践構造を(1)人間の生命活動への看護、(2)共同体で生きる人間の看護、(3)歴史社会的に生きる人間の看護の三つの側面から概念規定し教育内容のコアと確定した。さらに、これらは現実の諸条件のもとに側面の内部で、あるいは各側面相互に対立・矛盾を内包して現実化する実践内部の分析的認識過程とした。 2)授業(実習)プラン作成と実施:上記1)を具体化する実習プランとして、卒業前4年生の希望者を対象に、一病棟6名編制とし2名で一病室を担当とし、「導入講義」「臨床実習」「まとめ」で構成した。実習期間は約1週間とし、日々の臨床カンファレンス及び「まとめ」で看護実践の三側面とこれを規定する諸条件との関連について討議・発表によって認識形成することとした。 3)結果:実習プランは旭川医科大学倫理委員会の承認を得て実施した。実習体験から学生は看護実践の質が看護師の能力や認識に依存すること、時間・資源制約の中で患者の安全確保と自尊心尊重、複数患者の公平とニーズ充足の葛藤を認識していた。このほか、現在、実習データを整理中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度当初計画では、教育モデルに基づく授業プランの作成(12月~3月)で予定したが、授業プラン(実習プラン)の実施が看護学生を対象とするために、平成24年度実施計画では夏休み時期まで実施できず計画の遅延が考えられたため、授業プランの実施を今年度3月に行った。当初計画よりやや早めに進んでおり、おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成24年度は、(1)授業(実習)プランの実施による(1)各学生の実習記録、臨床カンファレンスでの逐語録、研究者のフィールドノート、実習のまとめ(発表内容と討議内容)、実習終了後に提出した課題と感想をデータとして整理する。(2)これらのデータをもとに、各学生の看護に関する認識の変化、看護実践の内部構造の理解状況について分析検討する。(3)授業プラン自体の評価と教育モデルとしての汎用性を検討する。 次いで、上記内容の検討をもとに、授業プランの修正点を検討し、授業プランの修正案を作成するとともに、研究過程全体の評価と報告書の作成に当たる。
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Research Products
(1 results)