2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22592389
|
Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
水戸 優子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (70260776)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 朋子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助教 (40413257)
大島 弓子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (50289758)
|
Keywords | 体位保持 / 摂食嚥下 / 褥瘡 / 看護師 / 実証研究 / 姿勢 / 食事 / 脳血管障害患者 |
Research Abstract |
23年度は、まず22年度に引き続き、三思会東名厚木病院の摂食嚥下療法部にて研修を行い、脳血管障害患者の食事体位保持に関する姿勢・体位の特徴を観察した。さらに摂食嚥下ケアの第一人者である小山珠美摂食嚥下療法部課長から臨床講義を受けて、脳血管障害患者の食事時姿勢保持の問題について把握した。それらは嚥下機能低下、麻痺による姿勢保持困難、注意障害、半側空間無視である。そして、嚥下機能に応じた身体および頭頚部角度、長時間の姿勢保持でも崩れにくい身体体幹、腰部膝部角度、上肢と足底部の固定、正面位、食事が見える角度、上肢が楽に食事に届く角度調整が重要であることが分かった。これらを実証するために模擬患者を対象として、前述の角度等を踏まえて、食事時にとってよい姿勢と臨床場面で起こりやすい悪い姿勢の場合での比較研究を行った。比較データとして、身体角度、筋力測定には筋電図および角度計(H22購入)、電子聴診器を用いての嚥下音、ビデオカメラおよび主観、体圧分布測定システムを用いて得た。詳細の結果はここでは省略するが、概ね全般的によい姿勢として整えた姿勢の方が、臨床でよく見かける姿勢(悪い姿勢)よりも食事に集中し長時間座っており、食事行動ができることが分かった。 上記で得られた脳血管障害患者の食事体位保持に関する知識および実証データをもとに、前述の小山氏の助言を得ながら食事体位保持プログラムを作成し、かつ、プログラム内容を根拠とともに解説しているデモンストレーションビデオを作成した。本ビデオを、日本看護技術学会学術集会の交流セッションにて紹介し、参加者より意見をいただいた。結果、概ね好評であったものの、患者に半側空間無視がある場合の姿勢保持や援助者の立ち位置についての質問が多く挙げられ、この点が従来の文献での記述内容とは異なっていたため、より明確に検証すべき点であることが分かり、次年度の研究につなげる必要性が分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳血管障害患者の食事体位保持に関する援助の課題は、臨床現場での研修および観察により明確になり、それらの文献の検討、模擬患者を用いての検証研究はできている。また、食事体位保持プログラムについても案ができつつある。但し、患者の半側空間無視に対応した姿勢保持や援助については、先行文献で示されていることとは異なる方法が、摂食嚥下ケアの第一人者である小山珠美氏から提案されており、このことを検証する意義は大きい。この点を平成24年度中にとりくみ、かつそのことも含めて、臨床での患者へのプログラムの実施、実証を図りたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
根拠に基づいた看護技術を広く明示することが重要であり、従って学会等の交流セッションにて、情報公開を進める必要があり、H24年度も行う予定である。また、半側空間無視のある患者への食事援助方法については、先行研究や臨床的取り組みでは患者の健側からの援助が定説になっているが、これでは無視側のリハビリにはならず、むしろ悪影響があることが小山珠美氏から提案されていることから、このことを新たに文献検討、および臨床での観察法を用いた実証研究を行って、成果やメカニズムを明確にし、最終的に脳血管障害患者の食事体位保持プログラムの要的情報のひとつとできるよう研究に取り組む。
|
Research Products
(1 results)