2010 Fiscal Year Annual Research Report
病院看護職員への能力主義管理導入の現状分析と合理的賃金制度モデルの開発
Project/Area Number |
22592403
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
林 千冬 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (60272267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益 加代子 神戸市看護大学, 看護学部, 助教 (80511922)
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Keywords | 能力主義 / 職能資格給 / 成果主義 |
Research Abstract |
平成22年度は、以下の諸点に関して文献収集ならびに職能団体・労働組合の賃金問題担当者へのインフォーマルインタビューを通して現状と課題を整理した。 (1) わが国の一般産業における能力主義管理・成果主義管理の実態に関しては、文献検討の結果、90年代からの成果主義導入の流れに対し批判的検討がなされていることが明らかとなった。なお、我が国においては、能力主義の代表的手法である職能資格制度がかなりの程度年功的な運用であること。また能力主義と成果主義が概念的に必ずしもクリアに分けて議論されていない点が明らかになった。 (2) わが国の看護職の賃金と賃金構造の歴史的変遷と現状については、人事院給与表、労働組合資料などから把握することができた。公務員の場合は職能資格級型の賃金体系であり、民間の多くもこれに準拠していた。しかし看護職の場合、職能資格の階級じたいが他職種と比較して少なく、そのことが中堅以降の賃金上昇を抑制する要因となっていると考えられた。 なお、今年度はさらに、国内で能力主義管理を導入している病院に関する情報、実施状況、関連する研究や報告について、文献や労働組合資料などから収集し検討する予定であったが、これについては労働組合に組織された病院での導入例が少なく、また導入されても組合等からの批判で撤回されたり現在再検討中であるなど、本格的な成果主義導入事例が得られなかった。そのため、23年度は民間病院等、情報収集ルートを当初の予定より変えて引き続き個別事例の検索を続ける予定である。よって経営管理者へインタビュー調査も23年度に行うこととした。
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