2011 Fiscal Year Annual Research Report
病院看護職員への能力主義管理導入の現状分析と合理的賃金制度モデルの開発
Project/Area Number |
22592403
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Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
林 千冬 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (60272267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益 加代子 神戸市看護大学, 看護学部, 助教 (80511922)
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Keywords | 賃金制度 / 能力主義 / 成果主義 / クリニカルラダー / 目標管理 / コンピテンシー |
Research Abstract |
本年度は、西日本全域の病院を対象に賃金制度の実態調査を行った。当初の計画では、能力主義管理を導入している病院に対象を絞り、導入の成果と課題に関して職員実態調査を行う予定であったが、昨年度から今年度にかけて行ったヒヤリングの結果、導入病院は少数であり、かつその内容も多様であることがわかったため、そもそもわが国の病院において、どのような賃金制度がどの程度導入されているか、また、それに対して看護管理者がどのような考えを持っているのかを幅広く解明することを優先した。調査対象は西日本24府県の病院全数(4,222施設・平成23年1月現在)の看護部長とした。質問紙は研究者が独自に作成したものを用いた。有効回収数は347件(回収率8.2%)とかなり低値であったが、回収された調査票には自由回答も含めて詳細な回答が記されていた。病院の属性は、医療法人・個人が60.8%、自治体立15.9%と全国の分布とさほど変わらなかった。賃金の年功制は全額に反映させている病院が51.6%と半数だが、適用していない病院も1.5%あった。年功制は看護職のモチベーション向上に役立つかどうかでは、「非常に思う/思う」48,7%が「あまり/全く思わない」43.2%と拮抗していた。賃金に能力評価を反映させているかどうかでは、反映されない病院は53.9%と多かったが、「全額/一部に反映させている」病院も31.7%あり、評価ツールとしてはクリニカルラダーが12.4%、コンピテンシー評価14.4%で、予想外にコンピテンシー評価が普及していた。能力評価の反映が看護職のモチベーション向上に役立つかどうかでは、「非常に思う/思う」79.9%と多かった反面、適切な評価基準を作成することが難しいとの回答が72.9%あった。賃金に目標管理の達成度など仕事の成果を反映させているかどうかでは、反映されない病院は57.9%と多かったが、「全額/一部に反映させている」病院も31.2%あり、看護職のモチベーション向上に役立つかどうかでは、「非常に思う/思う」が78.7%と多かった反面、適切な評価基準を作成することが難しいとの回答が69.2%、評価者の能力育成が難しいとの回答が70.3%あった。現在は記述統計のみだが、今後急ぎ病院属性や規模と関連ならびに自由記載の分析をおこなう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒヤリング調査と質問紙の作成に時間がかかったこと。調査票の回収率を少しでも上げるために返送期限を延長したことなどが原因で、集計・分析が24年度へ持越しとなってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
質問紙の分析はやや遅れたが、夏までには問題なく終了できる。時間はかかったが昨年度来のヒヤリングならびに質問紙作成の過程で、賃金構造モデルの骨格や問題点はかなり明らかになってきたため、それがすでに今年度の英国調査の準備ともなっており、今年度の主要な計画である英国調査は滞りなく実施できると予想している。
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