2011 Fiscal Year Annual Research Report
中堅看護師の「倫理的悩み」に関する実態および倫理支援システムの構築
Project/Area Number |
22592415
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮脇 美保子 慶應義塾大学, 看護医療学部, 教授 (10263493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮林 郁子 聖マリア学院大学, 看護学部, 教授 (40294334)
酒見 隆信 佐賀大学, 医学部, 教授 (30150410)
谷垣 静子 岡山大学, 大学院・健康学研究科, 教授 (80263143)
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Keywords | 中堅看護師 / 病院 / Ethical distress |
Research Abstract |
平成23年度は、以下の内容を実施した。 1.中堅看護師を対象に、「Ethical distress」について、60分程度のインビュー調査を実施した。この調査は、24年度も継続して実施予定である。現時点における結果の概要は、次の通りである。看護師は、患者や家族の意思が確認できない場合、患者にとっての最善の医療・看護とは何かについて悩んでいる。一方、患者や家族の意思は確認できているが、その選択肢が医師の治療方針と食い違う場合、看護師は患者の意見を代弁し、医師との倫理的調整を行うことが必要であることは、わかっているがそれができないことを悩んでいた。その背景には、医師に対して、看護の立場から意見を言おうと思っても、医師が、怒鳴る、拗ねるなどの態度をとるため「最善の医療」「最善のケア」について話し合うことができないことが問題であると認識していた。 2.倫理コンサルテーションに関する我が国の実情と今後の課題について、セミナーや学会等で情報収集および意見交換を行った。倫理コンサルテーションに関しては、研究と医療現場における倫理的問題に分けることができるが、医療現場に関しては、今まさに直面している問題である場合、それは「待ったなし」の状態であり、迅速な対応が求められる。そのためには、それを可能にする組織づくりが必要である。コンサルタントのメンバー、身分(雇用形態)、責任範囲、活動体制などについても、明確にしておく必要がある。 次に、コンサルタントには、倫理的問題を評価する技術やコンサルテーションプロセスの理解、人間関係調整技術などがあるが、特に重要とされているのはコミュニケーション技術である。価値の葛藤、倫理的問題を解消する上では、「物語の傾聴」や「対話」が非常に重要であるという認識が経験を踏まえて定着してきているということである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的である、「中堅看護師の「倫理的悩み」に関する実態および倫理支援システムの構築」の実態に関する調査は、ややインタビュー件数が予定を下回ったものの、おおむね達成しており、倫理支援システムの構築に向けての情報収集や意見交換も実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)実態調査のインタビューを昨年以上に計画的に実施する 2)倫理支援システムの構築に向けて、本年度は看護部との調整を行いながら、勉強会等を開催する。
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