2010 Fiscal Year Annual Research Report
看護師の夜間勤務における中枢性および末梢性疲労の神経生理学的評価
Project/Area Number |
22592420
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
田中 美穂 東邦大学, 医学部, 助教 (80385567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室 増男 東邦大学, 医学部, 教授 (80112887)
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Keywords | 看護学 / 生理学 / 疲労 |
Research Abstract |
シフトワークは看護師の心身に様々な変化をもたらし、短期では認知機能やパフォーマンスの低下、長期では睡眠障害や心疾患、乳がん発生のリスクを高めるなどの関連性が明らかにされている。本研究は、看護師の夜勤中における連続心拍数(以下HR)の変動を解析から、勤務中の自律神経負担度を検討した。 業務の内容や量に個人差が少ない療養型病院をフィールドとし、被験者は日本看護協会による調査の結果、最も疲労を感じている20代後半から30代の中堅看護師12名とした。被験者に重さ10gの超小型HRモニターを装着し夜勤中のHRを記録を解析した。また、反応時間、ピンチパワー、フリッカー・テストを勤務の前・後に実施し、疲労を検出した。 A群はActivityに合わせてHRとLF/HFを高め、HF/Totを低下させて労働していた。一方、B群もHRはActivityに応答しているがLF/HFは低値のまま変動の振幅も小さく経過し、HF/Totは夜間中(0:00~5:00)に高値を示した。このことから、A群は概日リズムを後ろにシフトさせ、従来睡眠中である時間帯であっても交感・副交感神経の活動を身体活動に応答させ勤務していたと思われる。他方、B群の自律神経活動は概日リズムに則り推移しており、深夜帯の身体活動の変動に応答していない傾向が出現した。夜勤前と後で疲労を比較すると、両群に有意な差は見られなかったが、A群の方がB群よりも疲労していた。恐らくA群の方が身体のパフォーマンスを高く保ち活動したことで疲労の出現をみたと考えられる。 看護師の夜間勤務で出現する疲労は良好な医療作業の結果である。しかし、中枢性疲労の理解については皆無であることから、今後は方法を変えて中枢性疲労を検出し、概日リズムや自律神経活動との関連について更に調査を進める。
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Research Products
(1 results)