2011 Fiscal Year Annual Research Report
乳がん体験者の術後上肢機能障害予防改善に向けた長期介入の効果
Project/Area Number |
22592435
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 冨美子 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40297388)
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Keywords | がん看護 / 乳がん体験者 / 術後上肢機能障害 / 症状マネジメント / リハビリテーション / リンパ浮腫 / 肩関節可動域制限(運動障害) / QOL |
Research Abstract |
本調査は「乳がん体験者の上肢機能障害予防改善に向けた介入プログラム」の長期効果を、術前、術後1週、1か月、3か月、6か月、1年、1年6か月、2年、2年6か月、3年の計10回、長期の上肢機能と生活機能(上肢障害評価表)、健康関連QOL、セルフケア達成度の調査によって明らかにすることを目的としている。対象は乳がんの手術目的で入院し、調査参加の同意を文書で得られた者とした。介入群と比較群は、対象の希望で分類した。介入群には「乳がん体験者の上肢機能障害予防改善に向けた介入プログラム」にそって1.なぜ症状がでるのか、2.腕の変化をみる方法、3.症状の予防改善に向けた生活に関する内容を中心に対象者の上肢機能や生活に応じて個別に指導した。比較群は入院病棟の医療者が通常行っているケアを受けた。平成22年度に調査を開始し、平成23年度末までセンチネルリンパ節生検を受ける173名に術前の調査を開始した。そのうち、介入群希望者は105名であった。縦断調査は術前の調査を開始した173名のうち、腋窩リンパ節を郭清した64名(介入群39名、比較群25名)に行った。術後6か月までの介入群と比較群の上肢機能、セルフケア達成度、QOLを比較した結果、介入群は比較群と比較し上肢障害や肩屈曲が術後1か月以降、改善傾向にあった。2群のセルフケア達成度の経時的変化と時間には有意差がみられた(F値=4.59;p<.01)。QOLは介入群の「体の痛み」を除く7下位尺度が術前と比較して高く、2群の「全体的健康感」の経時的変化と時間には有意差がみられた(F値=3.31;p<.05)。小冊子を用いた個別教育,上肢機能の評価,長期のフォローアップが,対象者のセルフケアやQOLの回復につながったと考える。平成23年度調査終了時に腋窩リンパ節郭清を受けた64名のうち術後2年経過した対象数は5名であるため、研究課題である術後3年までの介入効果を今後継続して調査する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度に調査を開始し、平成23年度末までセンチネルリンパ節生検を受ける173名に術前の調査を開始した。そのうち、本調査の分析対象者である腋窩リンパ節郭清者は64名(介入群39名、比較群25名)であり、術後2年までの調査は5名が終了している。本研究課題の終了年度末には、分析対象者の術後3年までの調査が終了する。
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Strategy for Future Research Activity |
本調査は乳がん体験者に術後3年までの計10回の調査を依頼し、同意の上、調査を開始している。途中で調査を中止した者は6名であり、死亡、転居が理由であった。今後も対象者の調査協力が継続して得られるように、調査の意義を対象者に伝わるように行っていきたい。
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