2012 Fiscal Year Annual Research Report
乳がん患者の療養生活を支える外来看護相談支援モデルの開発
Project/Area Number |
22592437
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
阿部 恭子 千葉大学, 看護学研究科, 特任准教授 (00400820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 まゆみ 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 教授 (10251191)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 乳がん / 外来看護 / 認定看護師 / 看護相談 / 相談支援プログラム / がん看護 / 相談外来 / 療養支援 |
Research Abstract |
本研究は、乳がん患者のより充実した療養生活の実現を支援するために、乳がんに特化した外来看護相談支援プログラムを開発することを目的にしている。 本年度は、平成23年度に引き続き、相談支援を受けた乳がん患者を対象に、相談支援のニードや看護師による相談支援に対する評価についてインタビュー調査を行った。データの質的分析を行い、その結果、対象者らの相談支援における体験では、「自分の気持ちのありのままを受けとめてもらった」「乳房の補整方法や職場復帰の時期など医師には聞きにくいことを相談できた」「治療後の創部や腕の経過への気がかりを理解してもらった」「日常生活での悩みへの対処法を具体的に教えてもらった」などがあり、対象者個々の背景や治療に伴う身体的変化、生活状況の変化に応じて、細やかな支援を受けたことを肯定的に評価していた。一方、「初対面の看護師なので戸惑った」「相談の予約がとりにくいと迷惑ではないかと気兼ねする」などがあり、乳がん患者は、患者‐看護師関係の構築や、サービスを享受することへのためらいなどの心理的負担が生じていることが分かった。外来看護相談は、従来の外来や病棟での看護支援とは異なる体制で行われるために、外来看護相談に対する患者の心理的負担を軽減するための配慮が必要であることが示唆された。 一方、平成23年度に引き続き、看護師を対象とする外来看護相談における乳がん患者への支援の構成要素と相談支援のプロセスに関するインタビュー調査も行っており、引き続き、データ収集と分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画では、1.乳がん患者と看護師を対象に、外来看護相談における乳がん患者への支援の構成要素と相談支援のプロセスに関するデータの収集と分析を行う、という予定であり、実際に対象者へのインタビューとデータの分析を行った。2.外来看護相談での相談支援を受けた乳がん患者のニードや相談支援に対する評価を明らかにする質問紙調査を行う、という予定については、質問紙調査では多様なニードの実態を明らかにするのは容易ではないと考え実施しなかった。次年度、外来看護相談を行っている看護師へのインタビュー調査から乳がん患者のニードを抽出し、乳がん患者へのインタビュー調査で明らかになったニードと合わせて、考察を深め、外来看護相談支援モデルの開発において統合することとする。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究実施計画では、乳がん患者を対象とする外来看護相談の現状についてのインタビュー調査をもとに質問紙を作成し、外来看護相談での相談支援を受けた乳がん患者のニードや相談支援に対する評価を明らかにする質問紙調査を行う、という予定であった。しかし、乳がん患者へのインタビュー結果を分析したところ、乳がん患者のニードには個別性があることがわかり、質問紙調査では多様なニードの実態を明らかにするのは容易ではないと考え実施しなかった。そこで、次年度は、外来看護相談を行っている看護師へのインタビュー調査から、乳がん患者のニードを抽出し、ニードに沿った外来看護相談支援モデルの開発を行う。 平成23年度に、10施設を対象に外来看護相談の現状と課題のインタビュー調査を行った結果を踏まえて、全国的な現状と課題を明らかにする目的で、乳がん看護認定看護師が所属する施設への質問紙調査に取り組む準備をしている。
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