2011 Fiscal Year Annual Research Report
集学的治療を受ける食道がん患者に対するがんリハビリテーション看護プログラムの構築
Project/Area Number |
22592444
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
森 恵子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (70325091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋元 典子 岡山大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (90290478)
雄西 智恵美 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00134354)
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Keywords | 食道がん / がんリハビリテーション / 生活再構築 / 集学的治療 |
Research Abstract |
本研究の全体構想は、集学的治療を受ける食道がん患者の実状に即したがんリハビリテーション看護プログラムの構築を行うことである。食道がんのために食道切除術を受け退院後6ヶ月以上経過し、術後補助療法が終了している外来通院中の患者22名に、外来受診時に半構成的面接を行い、修正版グランデッド・セオリー・アプローチの手法を用いて分析した。その結果、食道切除術後の回復過程において術後補助療法を受けた患者の術後生活再構築過程は《生活圏の狭小化》及び《命と引き替えに生活圏の狭小化を受け入れ自分流の暮らし方を獲得する》をコアカテゴリーとする過程として説明できた。この過程は、【予想をはるかに超えて苦痛と化した摂食・嚥下行動】が引き起こす『元には戻りそうにない実感』から始まっていた。この実感を『食べられなくなるのは当たり前』と捉える患者がいる一方で,『食道の手術を受けたことの意義を自問する』ことと『誰にでも起こることかどうか思い迷う』気持ちが交錯するが『食事にまつわる症状を他患と比べる』ことで納得する患者もいた。前者・後者ともにこの段階で『命と引き替え』と言い聞かせ、『今まで通り暮らしていくことの難しさ』に直面しながらも『周囲の期待を回復への糧にする』気持ちで『食べる量を増やすための試行錯誤を重ねる』試みを続けていた。しかし、この試みは術後補助療法により長期化し、これが『失職に伴う経済的困窮への懸念』及び【活動可能範囲の狭まり】をもたらしていたが、患者は、『命と引き替え』と言い聞かせたことを想起し自分の身体状況を客観視することで『時間の経過に伴う回復の実感』及び『摂取可能量増加に伴う回復への期待』が生まれ、『これまでの生活を改め、健康に留意した生活を送る』という新たな価値観を身につけ、『慣れる努力をしつつ自分流の暮らし方を探す』ことで最終的に生活の再構築に至っていた。また、術後に生じた【転移・再発・新たな部位へのがん発症への怯え】が常に患者の心の根幹に存在していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度までに、集学的治療を受ける食道がん患者の体験の詳細について明らかにすることができたが、データの分析に若午時間がかかってしまったため、集学的治療を受ける食道がん患者のがんリハビリテーションプログラム作成には至ることができなかった。リハビリテーションプログラムに必要な構成要素は明らかになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに明らかになった対象者の体験および、リハビリテーションプログラムに必要な構成要素をもとに、次年度は集学的治療を受ける食道がん患者のがんリハビリテーションプログラムを作成し、このプログラムを用いて、集学的治療を受ける食道がん患者への介入を行いたいと考える。
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