2011 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧患者の自己管理能力の向上を目指した教育介入プログラムの開発
Project/Area Number |
22592451
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
嶌田 理佳 名古屋市立大学, 看護学部, 講師 (40331673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
明石 恵子 名古屋市立大学, 看護学部, 教授 (20231805)
藤井 聡 名古屋市立大学, 薬学研究科, 教授 (90291228)
木村 和哲 名古屋市立大学, 医学研究科, 教授 (00423848)
土肥 靖明 名古屋市立大学, 医学研究科, 准教授 (40305529)
前田 徹 名古屋市立大学, 薬学研究科, 講師 (90381855)
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Keywords | 循環器・高血圧 / 看護学 / 薬学 / 臨床 / 医療・福祉 |
Research Abstract |
本研究グループはコントロール困難な外来高血圧症患者のセルフケア能力の向上とそれによる合併症予防を最終的な目標として、高血圧患者の服薬アドピアランスに関する研究を行ってきた。この研究の一環として高血圧患者の服薬行動を評価し治療効果を予測できるツールとするため、本邦初となる服薬アトピアランス尺度の作成を目指して、これまでの研究で抽出された服薬アドピアランスの関連要因を基にして60項目から構成される「服薬アドピアランス尺度ver.1」を作成して調査を行った。 今年度はこの結果を検証し、それをもとに再編した「服薬アドピアランス尺度ver.2」を作成し、尺度の完成を目指した。5件法、32項目から構成された本尺度を全国の高血圧患者990名を対象としてインターネット調査を行った。その結果、因子構造は第1因子『薬理効果への期待』(9項目)、第2因子『服薬の自己管理への意欲』(6項目)、第3因子『服薬への否定的な感情』(4項目)となった。各因子のクロンバックのα係数は第1因子=0,829、第2因子=0.743、第3因子=0.616であった。第1回目の測定から2週間後に実施した再テスト法による下位尺度得点の相関係数は、第1因子=0.697、第2因子=0.663、第3因子=0.689であった。自己測定による血圧値を高血圧治療ガイドライン(日本高血圧学会,2009)に沿って分類し、至適血圧および正常血圧に属する群(290名)と正常高値血圧以上の高血圧群(700名)に分けてt検定を行った結果、全ての下位尺度得点および合計得点において正常血圧値群の方が有意に高かった(p<.05)。飲み忘れは過去1週間に一回でも飲み忘れがあった群(235名)となかった群(755名)に分けてt検定を行った結果、全ての下位尺度得点において飲み忘れがなかった群の得点が有意に高かった(p<.01)。尺度の信頼性は高く、服薬状況や血圧値の異なる2グループを弁別することが可能であったことから、妥当性もほぼ確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに尺度を作成し、全国の高血圧患者約1,000名を対象として2回の調査を行うことができた。この調査で得られたデータをもとに、信頼性・妥当性を検証することができ、尺度の完成に近づくことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今度、尺度の完成を目指す。因子分析では因子負荷量が高かった尺度項目の中にも一般的に使用する際に回答しやすい適切な表現であるか検討を重ね、より精度の高い尺度を完成させたい。そして開発中の高血圧患者の教育プログラムの効果を評価しうる指標として位置付けられるようにしたい。また、本尺度は高血圧患者を対象として開発したものであるが、他の疾患の患者の人でも適応可能なのか比較検討したい。
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