2011 Fiscal Year Annual Research Report
成人喘息患者のQOL向上をめざしたセルフマネジメント支援に関する研究
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22592471
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
山中 純瑚 畿央大学, 健康科学部, 教授 (90300318)
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Keywords | アレルギー・ぜんそく / 看護学 |
Research Abstract |
本研究は(1)喘息患者のセルフマネジメント、症状コントロールおよびQOLの関連を検討し、患者のセルフマネジメント行動が症状コントロールのみならず患者のQOLを決定する因子になることを明らかにする。(2)その上で、患者のセルフマネジメント行動に影響を及ぼす要因を明らかにし、効果的なセルフマネジメント支援方法を探索することを目的としている。23年度は研究計画に準じて、大阪府下の成人喘息患者400名を対象に質問紙調査を行い、有効回答が得られた291名を対象に分析を行った。その結果、対象者は約8割が成人期に発症しており、社会的にも家庭的にも重要な役割を担う時期に診断を受けていた。自己管理行動各項目スコアの平均値を重症度別に比較した結果、ほとんどの項目において、重症、中等症喘息患者は軽症者に比較してスコアが高かった。また、QOL totalスコアと自己管理totalスコアには有意な正の相関(r=0.166,p<0.05)がみられ、自己管理行動を積極的に行っている患者群の方がQOLが障害されており、QOL下位尺度スコアでは「活動制限」「社会活動制限」において有意にQOLが障害されているという興味深い結果が得られた。一方でさらなる自己管理行動で喘息を改善できると思っている患者は全体の26.2%であり、発作の予防は可能だと思っている患者も20.1%しか存在しないという実状も明らかになった。症状コントールに重要である自己管理行動を積極的に行っていることがQOL向上には結びついておらず、自己管理方法が適切であるかの見極めが必要であること、また今回の調査研究によって、ストレスを受けやすいという性格的因子の存在を考慮した関わりを検討することも必要であることが示唆された。以上の研究結果は、学会発表にて公表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目的を達成するために必要なデータ収集は終了しており、分析結果についても各要因ごとに検討し、学会にて公表、または公表予定である。当初の研究計画については若干変更があったが、目的達成は研究期間内に可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の段階では患者のセルフマネジメントに影響を及ぼす要因を患者側、看護師側から明らかにすることを目的に研究を行っていた。研究を進める中で、患者側の要因の分析をさらに詳細に時間をかけて検討する必要性が明らかになり、他のアレルギー疾患のQOLとの比較、また医療施設の違いによる調査も加え、検討を進めている。看護師側の要因については今後、明らかにしていくことは必須であるが、喘息患者のQOLの実態をより明確にし、効果的なセルフマネジメント支援を構築していくためにも、今後さらに患者側の要因の分析、検討を行っていく必要がある。 本研究では、セルフマネジメントに影響を及ぼす患者側の要因を明らかにした上で、患者個々に適したセルフマネジメント支援方法を検討し、初期の段階でのセルフマネジメント継続困難な患者の見極め、支援方法の工夫を提言する。また、今後は看護師側の要因を明らかにした上で、アレルギーエデュケーター育成にむけての課題を明確にしていきたいと考えている。
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Research Products
(2 results)