2012 Fiscal Year Annual Research Report
クローン病患者に対する新しい治療法の導入によるQOLへの影響
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22592473
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Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
富田 真佐子 四国大学, 看護学部, 教授 (10433608)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | クローン病 / 炎症性腸疾患 / QOL / 看護学 / 抗TNF-α抗体療法 / ヘルスリテラシー / 患者参画 |
Research Abstract |
1. 患者参画型『みんなの研究プロジェクト』 患者が自らの経験を提供することで集合知を作り、治療法の選択や生活における意思決定を行う上で参考にすることができる「IBD患者参画型『みんなの研究プロジェクト』」Webシステムを構築している。24年度はホームページを更新し、患者からの情報を共有しやすくする形式としてミニアンケートのページを追加作成した。 2. QOL調査 1) 新しい治療法と従来の治療法を受ける患者のQOLの横断・縦断比較:23年度のデータについて分析し、新しい治療法と従来の治療法を受けている患者を横断的に比較したところ、新しい治療法により主観的健康感や食事満足度は上がっているものの、生活満足度に差はなく、薬物療法を続ける不安があることが明らかになった。この結果は報告書にまとめ、協力施設および患者会に配布し、ホームページ上でも公開した。またデータ収集に用いた「不確かさ尺度」の項目について尺度の信頼性と妥当性を検証し、炎症性腸疾患患者に尺度が適応できることを確認した。続いて「不確かさ尺度」とQOL関連項目との因果関係や、治療法の違いによる差を明らかにするための分析を行った。25年度は学会発表後、論文としてまとめる。経時的評価については2年続けてのデータが少なく分析はできなかった。 2) 新しい治療法によるQOLの経時的変化: 治療の経験についてインタビューおよび記述式アンケートの結果を質的に分析し、効果が持続している患者、効果が減弱している患者、それぞれの体験について学会にて発表した。この分析結果を基に、治療による生活への影響に関する項目を設定し、治療開始時、4週間後、8週間後、半年後、1年後、2年後、計6回分の質問紙の作成が完了した。 3)QOL評価尺度の開発:これまでに用いてきたQOL関連要因項目を基に、統計的な手法により質問項目の精選を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「新しい治療法の患者と従来からの経腸栄養法中心の治療を受ける患者との比較」:順調に進展し、報告書の作成と学会発表を行い、論文発表を行う準備もできている。縦断的分析については、2年連続したデータが少ないため分析ができていない。25年度も参加協力を呼びかけていく 「新しい治療法によるQOLの経時的変化」:予定より質問紙の作成に時間がかかりデータ収集の開始が遅れた。2年間の追跡調査であるためデータ収集にさらに時間を要す。25年度1年間かけて参加者を募り、データ収集に努め、「開始時」のデータから分析していく。 「患者参画型みんなの研究プロジェクト」:患者が研究に参画する新しいシステムとしてホームページを随時更新し活用している。今後、患者会へのリーフレット配布等によりアクセス数を増やしていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
1.Webシステムの活用:研究に先立って結成したWebを利用した新しい研究参加のシステム「患者参画型『みんなの研究プロジェクト』」(「患者参画型研究プロジェクト」から名称変更した)をさらに充実させ、参加者を増やす。参加者からの情報提供に対応し、情報を共有できる場になるよう努める。周知を拡大するためにプロジェクトを説明するリーフレットを作成し、患者会と協力施設において配布することも計画している。 2.「新しい治療法の患者と従来の治療法の患者とのQOL調査」:既に得られたデータについて論文発表する。QOL関連要因と「不確かさ尺度」について分析した内容をまとめる予定である。また上記Webからのデータ収集を継続し、縦断的に分析する。 3.QOL評価尺度の完成:これまで使用してきたQOL関連要因の項目を精選させてきたが、25年度あらたに尺度開発に向けたデータを追加収集し、尺度完成を目指す。26年度の学会発表および論文投稿の準備を行う。 4.「新しい治療法によるQOLの経時的変化」:抗TNF-α抗体療法を新たに選択する患者を対象に現在2か所の協力医療機関にてデータ収集を開始している。25年度末まで対象者を募り、2年間の追跡調査(6回分)の質問紙を配布し、協力を依頼する。データ収集に時間がかかるが、「開始時」のデータから随時分析していく。
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Research Products
(6 results)