2010 Fiscal Year Annual Research Report
加齢・病態・外部環境(騒音、青色光)による自律神経機能の変動とせん妄発症との関連
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22592476
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Research Institution | Kyushu University of Nursing and Social Welfare |
Principal Investigator |
樋口 マキエ 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 教授 (80040187)
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Keywords | せん妄 / 集中治療室(ICU)入室患者 / 腹部大動脈瘤開腹術患者 / ICU騒音 / 耳栓 / 自律神経系活性 / 日内変動 / 心拍変動パワースペクトル解析 |
Research Abstract |
集中治療室(Intensive Care Unit : ICU)入室患者や高齢入院患者に多発する"せん妄"は、患者の予後の悪化に関係している。せん妄の発生には直接因子・準備因子・誘発因子が複雑に関与しているが、救命が主目的の特殊なICU環境自体がせん妄誘発因子となりえる。実際、一般病棟へ戻るとせん妄は回復する傾向にある。 そこで【今回の研究目的】は、ICU看護師の協力のもとに、(1)当該ICUと一般病棟の外部環境(騒音・照度の程度と日内変動)の違いを明らかにすること、次に(2)ICU入室患者(腹部大動脈瘤開腹術患者、n=27)を対象に、耳栓や心拍変動パワースペクトル解析などを用い、ICU夜間の騒音によるストレスがせん妄発症に関与することを、倫理的に、検証することである。 【研究の成果】(1)消灯後低下し明確な日内変動があった一般病棟に比し、ICUの騒音と照度レベルには昼夜の差がなく、特に夜間に顕著な高値を示すことを明らかにした。次に(2)ICU患者の興奮やせん妄発症度は、ICU夜間の耳栓使用により有意に減少することを明らかにした。更に(3)心拍数と自律神経系活性における覚醒時・睡眠時の正常な日内変動が、ICU環境下、消失するか逆転する例で興奮やせん妄発症の傾向にあること、そして、このせん妄群の自律神経系活性の変調は、ICU退室5日目も回復しない傾向にあることを明らかにした。 【結論】これらの結果は、ICUの異常な持続的騒音がせん妄発症に関与しており、せん妄発症の防止対策としてICU夜間の耳栓使用が有効であることを示唆している。
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Research Products
(3 results)