2011 Fiscal Year Annual Research Report
0歳児を持つ母親の子育て支援システムの充実を目的とした祖父母教育プログラムの検討
Project/Area Number |
22592493
|
Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
橋本 美幸 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (70513183)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂上 明子 千葉大学, 大学院・看護学研究科・母性看護学教育研究分野, 准教授 (80266626)
|
Keywords | 子育て支援 / 祖父母 / 新生児・乳児 / 子育て支援者 / 育児不安 |
Research Abstract |
母親(娘)と祖母(実母)の双方にとって、より満足度の高い支援の授受ができるようにするために、母親と祖母の育児に対する考え方の相違を明らかにした。母親-祖母の子育て観について文章完成法を用い、「私にとって子育ては」の刺激語で調査し、主な反応をそれぞれ抽出しカテゴリー化して、<肯定的反応>、<否定的反応>、<両価的反応>、<中性的反応または分類不能>に分類した。<肯定的反応>を示したのは母親(75.5%)の方が祖母(43.4%)より多く、その一方<否定的反応>を示したのは祖母(30.2%)の方が母親(10.2%)より多かった(p<0.01)。それぞれの子育て観の違いは、祖母から母親へ育児支援を行う上で影響を及ぼす可能性があると考える。育児に対する考え方の相違を認識した母親は32.7%、祖母は22.6%だった。これらの相違は、母乳育児や添い寝等、母親-祖母の世代で一般的に考え方が変化した育児技術や、育児への取り組み方に基づくものであった。祖母の多くはこれらの相違に対して、母親の考えを尊重し見守る対応をとっていた。また、母親の約9割は祖母からの支援にほぼ満足と認識していたが、相違の調整ができず、祖母からの支援がストレスになるため支援を断ったり、予定よりも早く実家から自宅へ戻るという対処をとり、その後の祖母との関係性が希薄になったと認識しているケースもあった。 産後4か月までの母親の不安の軽減要因を明らかにした調査結果においても、家族の情緒、実質支援共に母親の不安の軽減との関連は無く、反対に家族関係に関する心配を抱えている母親が多く認められた。 これらの結果から、祖母が現在の母親のおかれている育児環境や一般的な育児技術に関する知識、娘夫婦の育児方針や育児に対する価値観、育児に関連したストレス等を理解し、適切な支援が行えるよう、祖母に向けた育児に関する具体的情報を提供する必要性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究協力をしてくれる自治体の決定に時間を要した。調査協力の内諾を得ていた自治体から調査協力を断られたため、調査協力が得られる自治体を新たに探す必要性が生じ、これに時間を要した。このため、予定していた時期より大幅に計画が遅れた。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、調査協力を得られた4つの市で調査を実施中である。調査I終了後、調査IIを実施予定であったが、調査IIのインタビュー調査への協力者も集まりつつあるため、質問紙調査である調査Iとインタビュー調査である調査IIを同時に進めていく予定である。
|