2011 Fiscal Year Annual Research Report
成人教育に基づく助産師の妊婦健診・ケア能力形成プログラムの検討
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22592500
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
松岡 恵 静岡県立大学, 看護学部, 教授 (90229443)
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Keywords | 助産師 / 助産診断能力 / 健康教育 / 助産師外来 / リフレクション / 助産師教育 / 教育評価 / 妊婦健診 |
Research Abstract |
成人教育学の枠組みに基づく教育実践による能力形成過程を明らかにするために、リフレクションを導入し妊婦健診の実習とカンファレンスを併行して行う教育と、講義を終了した後に分娩介助の継続ケースの妊婦健診実習を行う従来型の教育を行った。データ収集は平成22・23年度の二年間で行い、リフレクションを導入したグループ(実験群)6名、従来型教育を行ったグループ(対象群)9名のデータを収集した。調査内容は、妊婦健診に用いる診断技術と助産診断に関する自己評価(47項目 5段階リッカート尺度と自由記載3項目)であり、数値データの分析は反復測定による一元配置分散分析を行った。 その結果、両群とも妊婦健診の開始時より終了時は、子宮底長などの測定技術について有意に自信が付いていたが、教育課程の違いによる有意差は認められなかった。両群間に有意差が認められたのは、妊娠経過中の分娩様式の予測に関する助産診断のみであった。自由記載3項目については、数値データの解析結果と合わせて、分析および考察を進めている。 また、実験群のみに行った妊婦健診実習終了時の面接および実習指導助産師(3名)と実習指導産科医(3名)に対する面接の録音内容は、匿名化文書作成を依頼し、それをもとに面接を担当しない研究協力者による第一段階の分析を行っている。 妊婦健診のリフレクションは、記載内容がリフレクションではなく行動記録に終わっているものが多く認められ、教育プログラムの中に、リフレクションを十分に行うための導入プログラムが必要であると考えられた。そこで、有効に活用するための指導方法、臨床での体験の記述からの学びの段階などにつき、リフレクションを活用している研究者にリフレクションを導入するための方法について助言を得るとともに、臨床体験を臨床知に結びつけるための看護者の教育に関する第一人者であるパトリシア・ベナー氏の講演会に出席し、教育プログラムの検討への示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成22年10月から平成23年8月まで、研究代表者が体調不良で入院加療を必要とし休職した。職場復帰後、タイミングを逃すと収集できないデータの収集作業を優先して、遅れを取り戻す努力をしていた。しかし、実験群に該当する学生数が予定よりも少なく、来年度に平成24年度にもデータ収集を行う必要が生じてしまった。当初予定では、今年度中に質的データの分析作業を終え、その一部を平成24年度8月に学会発表を行う予定であったが、現時点で収集済みの質的データの分析がおくれ、予定していた学会の演題登録ができなかった。また、他の質的データの発表を予定していた学会は、平成24年度の開催が平成25年5月に延期されることになってしまった。 そのため、助成金交付期間内の発表をするためには、学会の変更を検討しなくてはならなくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度7月末までに、実験群のデータ(助産診断と技術の自己評価表とリフレクション)を追加して、数値データの分析を終え、静岡県母性衛生学会での発表をめざす。質的データは、5月までに研究協力者による一次分析を終え、10月をめどに分析を終了し、平成25年2,月の第16回EAFONS(タイ)での発表をめざす。当初予定より研究エフォートを増やし、分析にかける比重を増すことで研究を推進する予定である。 また、これまで明確でなかった研究協力者の分析に関する役割分担を明確にし、研究を推進していく予定である。
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