2010 Fiscal Year Annual Research Report
難治性てんかん患者の小児医療から成人医療へのトランジション・プログラムの開発
Project/Area Number |
22592505
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Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
吉川 彰二 森ノ宮医療大学, 保健医療学部・看護学科, 教授 (00326290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 利三郎 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50124748)
佐藤 寿哲 森ノ宮医療大学, 保健医療学部・看護学科, 助手 (90614082)
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Keywords | てんかん / 小児医療 / 看護 / 成人医療 / 移行 / トランジション / キャリーオーバー |
Research Abstract |
てんかん患者と家族から、キャリー・オーバーしている人々の実態と、移行ケアへのニーズを明らかにするため患者会(社団法人日本てんかん協会近畿ブロック)所属の会員-患者および家族-を対象に調査を実施した結果、平均年齢は37.1才(SD±13.2)であった。患者136名のうち、発作は、「年に数回」以上のものが(63.9%)とコントロール不良が多く、療育手帳はA、Bを合わせて80名(58.8%)が取得していた。てんかんの診断名は様々であり、移行ケアに関する認識と実際について明らかとなった。現在てんかん診療をうけている診療科は、小児科、神経科、精神科、脳外科等様々であり、小児期発症の患者の半数近くが、成人期においても小児科に受診していた(平均25.8歳)。移行については主治医交代への不安が多く聴かれ、これらを踏まえた移行ケアへの取組みの必要性が示された。また、成人医療へ移行理由には、手術や症状の再発、増悪等、治療上の必要性からの移行が多く、専門医の所属する診療科への転医が結果として「移行する」形になっていた。 「病気の説明」は、患者72名(83.7%)、家族86名(63.2%)が「(十分)うけている」と答え、「(あまり)うけていない」は患者11人(12.8%)、家族42人(30.9%)であった。「病気を受容している」は、患者66名(76.8%)、家族76名(55.9%)、「主治医による受容に配慮した診療」は、患者74名(86%)、家族88名(64.7%)、と其々肯定的な回答であった。一方、「診察をつうじて自立が促された」は、患者34名(39.6%)、家族34名(24.3%)と低値であった。これらの結果は明らかにされておらず、今後の様々な取り組みのための重要な資料である。今年度は、同アンケート調査の対象者をさらに拡大して実施すると共に、順次学会発表を行い、広くその成果を発表する予定である。
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