2010 Fiscal Year Annual Research Report
中高年女性の「健康統御力」の形成過程とソーシャルキャピタルの影響に関する研究
Project/Area Number |
22592513
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tenshi College |
Principal Investigator |
島 明子 天使大学, 看護栄養学部, 講師 (80337112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 知子 天使大学, 看護栄養学部, 教授 (80165951)
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Keywords | 中高年女性 / Sense of coherence / 更年期症状 / QOL / ソーシャルキャピタル |
Research Abstract |
目的:本年度は、中高年女性に特有の健康統御力の構成要素を抽出すること、健康へ関連するソーシャルキャピタルの構成要素を抽出することを目標とした。 方法:前向き調査の開始年度としてベースライン調査を実施した。(1)調査内容の精査:既存研究から健康統御力の構成要素をSOC(sense of coherence)に集約して項目を設定した。ライフスタイルや不定愁訴との関連性についても国内外から広く情報収集し、肥満と更年期症状の項目を設定した。ソーシャルキャピタルについては家族や近隣との絆について項目を設定した。(2)実施:年齢が30歳~60歳までの男女1,000名の就労者を対象にアンケート調査を実施し、性別、年齢別に健康の自覚症状とSOCの差異を比較分析した。 結果:回収率は24.8%であった。年齢構成比は、30歳~39歳が21.8%、40歳~49歳が30.9%、50歳~59歳が30.8%、60歳が16.5%であった。男女比は、男性が58.4%、女性が41.6%となった。不定愁訴の頻度は、女性が男性に比較して有意に高かった。SOCについては、50歳~59歳で女性が男性に比べて得点が有意に低い(p<0.001)ことが示唆された。ソーシャルキャピタルとした「家族の絆」や「近隣の絆」は性差や年齢差を認めず、SOCとも関連を認めなかった。 50歳代の女性でSOC得点が低かったことは、中高年女性に特有の変化が生じている可能性があり、中高年女性の健康統御力としてSOCは重要な構成要素ではないかと推測する。何故、中高年女性のSOCが低かったかという背景については、調査対象者が少なく調査の限界があったため、症状やソーシャルキャピタルとの関連性を明らかにするには至らなかった。今後、調査対象者数を増員してベースライン調査を補完すると同時に定性調査を通じて、検討を継続する。
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