2011 Fiscal Year Annual Research Report
中高年女性の「健康統御力」の形成過程とソーシャルキャピタルの影響に関する研究
Project/Area Number |
22592513
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Research Institution | Tenshi College |
Principal Investigator |
島 明子 天使大学, 看護栄養学部, 講師 (80337112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 知子 天使大学, 看護栄養学部, 学長 (80165951)
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Keywords | 中高年女性 / Sense of Coherence / 健康コントロール感覚 |
Research Abstract |
本年度は調査2年目に該当し、昨年度の定量調査では把握できなかった中高年女性に特有の健康統御力にはどのような内容があるかを明らかにし、プログラムの基盤づくりを目的とした。目標には、(1)定性調査によって中高年女性に特有の健康統御力の構成要素を抽出すること、(2)健康プログラムの試案を作成すること、(3)定量調査における調査協力者の拡充の3点を設定した。 定性調査に重点を置き、40歳代~50歳代の女性、現在、自分は健康だと自覚している女性に調査協力を依頼し、インタビュー調査を実施した。インタビューの内容は、昨年度に定量調査で用いたSence of Coherenceの下位概念である把握可能感、処理可能感、有意味感の3要素をもとに、半構成質問法を用いて行った。 定性調査から、自らの健康をコントロールできていると感じている女性に共通していた内容は、自分なりのペースを維持していることだった。自分のペースとは、家事と仕事のバランス、気分転換と仕事のバランス、家族と自分のバランスであった。健康のコントロール感覚には、過去の育児や病気などの辛かった体験を活かす力、自分だけに特有な体調変化の前兆を把握する力、一人で抱え込まずに周囲の力を活かしてマネジメントする力、他者と協働する力、他者との信頼関係を維持する力が導き出された。人生を楽しむことに意義を感じ、期待した状況にならない場合には良い方向へ捉え直そうとする力、悪化した事態にのめり込まない力も導き出された。 本結果から中高年女性の健康統御力には、過去の体験を活かす力、公私にかかわらず周囲と協働する力の影響が窺えたことから、マネジメント力の形成とソーシャルキャピタルの紐帯形成を重点化したプログラム内容を作成し、検討中である。今後は、更に内容を精査するとともに、初年度調査と異なる地域での調査協力者の募集を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度目標である定性調査によって中高年女性に特有の健康統御力の構成要素を抽出することが概ね達成できた。しかし、調査プロセスのなかで、調査協力者の確保が困難となったため、プログラムの検討に影響し、次年度へのプログラム実施準備としてはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、プログラムの精査を推進することとともに、次年度は追跡調査によって健康統御力の形成過程の分析を行う。また、本年度の課題となった研究協力者の追加募集について、中高年女性の雇用形態の特性を鑑みて協力者の職業形態に幅を広げること、ソーシャルキャピタルとの関連から対象地域を広げることを対策として課題解決とする。
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