2011 Fiscal Year Annual Research Report
婦人科疾患の治療前後における性機能、排尿機能およびQOLの変化に関する研究
Project/Area Number |
22592515
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石田 志子 東北大学, 病院, 技能補佐員 (20269377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新倉 仁 東北大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80261634)
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Keywords | 婦人科疾患 / QOL / 排尿機能 / 性機能 |
Research Abstract |
本研究では、婦人科疾患の治療を受ける患者の性機能、排尿機能およびQOL評価の経時的変化、およびこれら相互の関連を明らかにすることを目的としている。 東日本大震災の影響により、今年度の新規協力者は年間目標に届かなかった。退院後の郵送調査は、調査対象者の安否状況がわからず、再開にあたっては十分な配慮を要した。住所不明者が増えたこともあり、2月末までの回収率は昨年よりやや低く、1ヶ月後68.8%(66.7%)、3ヶ月後50.0%(54.3%)、6ヶ月後40.6%(66.7%)、12ヶ月後51.4%(50.8%)、24ヶ月後55.0%(57.1%)、36ヶ月後46.4%(53.3%)であった(括弧内は震災前)。 性機能評価について日本人の一般女性と比較したところ、本調査のFSFIは、30歳代で高く、40歳代、50歳代では低かった。30歳代の43%が子宮頸癌であることからSexual Activityとの関係が示唆された。また、治療後のFSFIは、3年が経過しても術前まで回復していなかった。疾患別の検討では、すべての疾患で退院1ヶ月後の性機能が低下していたが、その後はCIN・CIS・AIS、良性疾患が悪性疾患に比べて早期に回復していた。治療後の性的満足度が子宮頸部癌1・II期(N=72,平均年齢43.1歳)で治療前に比べて有意に低かったのに対し、子宮体部癌1・II期(N=54,平均年齢52.6歳)では12ヶ月以降に治療前よりスコアが高くなっていた。 今後は排尿機能、QOL評価も進めていく予定であるが、最終的には神経温存術式との関連を明らかにしたいと考えており、そのためにも引き続きデータを集積する必要性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災の影響により、今年度の新規協力者は年間目標に届かなかったが、今までの総数でみると順調にデータ集積ができている。退院後の郵送調査においては、一時的な回収率低下や住所不明者の増加がみられたものの、退院後3年目に至っても平均50%を上回っており、長期郵送調査としては悪くない回収状況だと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終的には神経温存術式との関連を明らかにしたいと考えているが、そのためにはデータ数が不足しているため新規協力者を増やし、郵送調査の回収率を上げる努力が必要である。東日本大震災から1年以上が経過してもなお、震災前に比べて患者数は減少傾向にある。また、避難生活や身内の行方不明など、今なお震災の影響を受けている患者がいる可能性もあるため、引き続き十分な配慮をしながら調査の協力依頼をしていく必要がある。 まだ十分な結果は得られていないが、早急に排尿機能QOL評価についても分析を加え、来年度中には一度成果をまとめて中間報告をおこないたいと考えている。
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