2010 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠を望む女性の気がかりとプレコンセプション・サポートの検討
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22592521
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Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
森 明子 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (60255958)
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Keywords | 医療・福祉 / 看護学 / 妊娠前ケア / リプロダクティブ・ヘルス / ウィメンズ・ヘルス |
Research Abstract |
本研究は今後のライフコースにおいて妊娠を希望している女性の気がかりとその背景を明らかにし、不要もしくは過度な心配を軽減すると同時に、リプロダクションにおける納得のいく意思決定と適切なセルフケア行動が行えるようになるためのプレコンセプション・サポートの検討を目的とするものである。 22年度は、生殖年齢にある、妊娠を望む女性の気がかりはどのようなものであるか、どのような身体・心理・社会的背景の要因が関与するのか、実態調査のための質問紙作成を目標とした。女性に対するインタビューの過程で、とくに妊娠の計画に関する主要概念として「性行動」に着目する必要性を生じた。ここでの性行動は「性欲がない・挿入できない・射精しない」のいずれかの問題で妊娠の計画に支障があるかどうかを調べるものとした。妊娠を望み計画している女性を対象とした性行動と性のQOL、これらと関連する要因に関する質問紙を作成した。性のQOLに関してのみ、既存の調査票The Sexual Quality of Life-Female(SQOL-F)を開発者の許可を得て翻訳し日本語版を用いた。妊娠を望む女性380名を対象に自記式質問紙調査を行った。その結果、対象女性の平均年齢は35.5歳、パートナー37.2歳であった。SQOL-F総得点は、初婚同士群より再婚同士群が高かった(t=-2.075,p=0.039)。性行動の障害で妊娠の計画に支障なし群より支障あり群が低かった(t=6.306,p=0.000)。SQOL-Fを従属変数とし、個人・カップルの背景要因、不妊治療の要因、性行動を独立変数として、重回帰分析を行ったところ、性行動の障害で妊娠の計画への支障があることがSQOL-Fを低めるもっとも強力な要因であった。妊娠を望み計画している女性への支援は性行動のアセスメントとケアが重要であることがわかった。
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