2010 Fiscal Year Annual Research Report
月経前症候群のある女性のQOL向上を目指した呼吸法の有用性
Project/Area Number |
22592530
|
Research Institution | Yokkaichi Nursing and Medical Care University |
Principal Investigator |
大平 肇子 四日市看護医療大学, 看護学部, 講師 (20259386)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町浦 美智子 大阪府立大学, 看護学部, 教授 (70135739)
斎藤 真 三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (70178482)
|
Keywords | 月経前症候群 / 呼吸法 / リラクセーション / 心拍変動 |
Research Abstract |
1. 目的;月経前症候群(premenstrual syndrome:以下PMSとする)の女性は、症状が出やすい黄体期に自律神経系の交感神経活動が亢進していることが知られている。リラクセーションを誘発する呼吸法(以下、呼吸法とする)は副交感神経活動を優位にするといわれており、PMSの症状の緩和も可能ではないかと考えた。そこで、本研究は呼吸法によるPMSの症状緩和の効果を生理心理学的な評価から明らかにすることを目的に行った。平成22年度は、心拍変動の解析による評価から呼吸法の効果を検討した。 2. 方法;対象者は本研究への同意が得られた20~30歳代の女性20人であった。これらの女性は、PMSの自覚のある者、婦人科疾患を含めた疾患がない者、常用薬を服用していない者、非喫煙者であった。また、対象者の基礎体温表から、月経周期が規則的であること、基礎体温が2相性を示すことを確認した。呼吸法は長息呼吸とし、座位で10分間行う方法とした。対象者は呼吸法の説明を受けたのち、約1か月間自宅で練習を行った。呼吸法実施前の安静後、心電図の電極を装着し測定の準備を行った。その後、最初に閉眼安静で5分間の心電図測定を行い(前安静)、次に呼吸法を10分間行い、最後に閉眼安静で5分間の心電図測定を行った(後安静)。 3. 結果と考察;前安静と後安静を比較した結果、副交感神経活動の指標であるHF(high-frequency)が有意に増加し、交感・副交感神経活動のバランス指標であるLF(low-frequency)/HFには変化がみられず、副交感神経活動が優位な状態に保たれた。今回の結果から、呼吸法はPMSの女性の自律神経系に働きかけ、副交感神経活動を優位にすることが示された。今後は、呼吸法の効果を複数の測定指標から検討し、PMSの症状緩和の効果を検証していく予定である。
|