2011 Fiscal Year Annual Research Report
月経前症候群のある女性のQOL向上を目指した呼吸法の有用性
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22592530
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Research Institution | Yokkaichi Nursing and Medical Care University |
Principal Investigator |
大平 肇子 四日市看護医療大学, 看護学部, 准教授 (20259386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町浦 美智子 大阪府立大学, 看護学部, 教授 (70135739)
斎藤 真 三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (70178482)
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Keywords | 月経前症候群 / リラクセーション / 呼吸法 |
Research Abstract |
本研究は月経前症候群(premenstrual syndrome; PMS)の女性に対するリラクセーションを誘発する呼吸法(以下、呼吸法とする)の効果を生理学・心理学的な指標から明らかにすることを目的に検討した。20~38歳のPMSの女性(呼吸群20人、対照群20人)を対象に、呼吸法のリラクセーション効果を測定した。測定項目は、心電図の解析による心拍変動(HF、LF/HF)、唾液コルチゾール、気分調査票(Mood Inventory; MOOD)で、時期は各対象者の黄体期に行った。呼吸群は測定に先行し、1月経周期の期間(約1か月間)の呼吸法の練習期間を設けた。測定の手順は、最初に唾液採取とMOODの回答を求め、続いて10分間の測定前安静の後、心電図を5分間計測した。この後、呼吸群は呼吸法を、対照群は平常呼吸を10分間実施し、次いで両群とも心電図を5分間計測し、MOODの回答、唾液採取を行った。その結果、呼吸群は呼吸法実施後に、心拍変動のHFが有意に増加し(p<0.01)、唾液コルチゾールは有意に低下した(p<0.05)。MOODの「緊張と興奮」「爽快感」「疲労感」「抑うつ感」「不安感」のすべての項目で有意な変化がみられ(p<0.01)、特に「爽快感」は、対照群に比して呼吸群で有意な増加を示した(p<0.05)。つまり、PMSの女性が呼吸法を行った結果、副交感神経活動の指標であるHFが有意に増加しリラックスした状態となった。さらにストレスの内分泌的な指標である唾液コルチゾールも有意に低下し、MOODの各項冒も有意に変化し、気分状態が改善されたことが示された。従来の研究ではPMSの女性に対する呼吸法のリラクセーション効果は明らかでなかったが、今回の結果からPMSの女性に対しても、呼吸法は副交感神経活動を有意に増加させるリラクセーション効果があることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に計画した実験は概ね順調に進んでいる。実験から得られたデータは、現在分析中であり、今後、多面的に分析し検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)平成23年度までに得られた結果をまとめ、学会等で報告する。 (2)平成23年度までの結果から、PMSの女性に対する呼吸法のリラクセーション効果は明らかになった。そこで、平成24年度は、呼吸法をより簡便にかつ効果的に日常生活で用いることができるように、呼吸法を説明するリーフレットを作成し評価する。 (3)呼吸法の効果を簡便で瞬時に判定することができれば、呼吸法を行う際の動機付けともなる。そこで、日常生活において、呼吸法の生理学的効果を簡便に翻定する方法の1つである唾液アミラーゼ測定キットを用い、リラクセーションの効果測定の有用性を検討する。
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Research Products
(1 results)