2011 Fiscal Year Annual Research Report
壮年期都市部住民に対する健康づくり支援システム構築のための実証的研究
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22592556
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
田口 理恵 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (90301126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原 智江 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (10438145)
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Keywords | 壮年期 / 生活習慣病 / 健康づくり / ソーシャルマーケティング |
Research Abstract |
(1)壮年期住民への生活習慣病予防を中心とする健康づくり支援にむけて、対象のセグメンテーションを行うため、約3万人分のA市特定健康診査結果を用いて、生活習慣病の有所見率と居住地区との関連性について、年代別男女別に分析した。結果、多くの項目の有所見率について、女性において居住地区との強い関連性が認められ、その地域性に明らかな性差が存在することが示された。このため、女性は男性に比して、居住地域の環境や文化に強く影響を受け、これが生活習慣病発症に関連している可能性が示唆され、性差に基づく対象のセグメンテーションの必要性を示した。 (2)健診受診に関わる保健信念尺度の開発に向けて、30歳代生活習慣病予防健診受診者18名を対象にin-depthインタビューを行い、質的帰納的に分析した。インタビューと分析の枠組みにはhealth belief modelを用いた。対象者は自身の健康状態には問題が少ないため、周りの人の健康状態や情報から、健康を失う可能性や重大性を自覚していた。また、健康は今の当たり前の生活を支えるものととらえられていた。また対象者は、自分の全身状態への興味関心から健診を受診しており、一方障害要因の根底には、健康意識の欠落が存在することが示された。このため、健診受診を促進するためには、自身の健康への興味の育成が必要であり、これにはより若い時期からの介入が必要と考えられた。また、健診受診の直接のきっかけは個人宛て通知であったが、間接のきっかけは、日頃の周りの人からの働きかけや影響であり、人とのつながりの重要性が示された。 (3)健診受診に関わる保健信念尺度の開発に向けて、(2)で得られた結果をもとに、健診受診に関わる保健信念尺度案を作成し、30~50歳代の全国1200名の男女を対象に、インターネット調査を実施した。平成24年度には引き続き追加調査を実施し、尺度開発を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
壮年期住民への生活習慣病予防を中心とする健康づくり支援対象のセグメンテーションに向けた分析については、A市保健医療センターの協力を得て、3万人規模の特定健診データの分析を進めており、新規性の高い知見も得られている。一方、健診受診行動に関連する要因の分析については、当初A市国保被保険者を対象とした住民調査を計画していたが、実施の調整に時間を要したため、インターネット調査に計画変更を行った。これにより、予定の遅れは最小限に抑えられ、かつ、通常極めて回収率の低い世代を対象とした、大規模なデータ収集が行えた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には、健診受診行動に関する保健信念尺度の開発に向け、インタネット調査データを1000名程度追加し、分析、尺度開発を進める。また、本尺度を用いて、健診受診行動の決定要因を明らかにし、これまで得られた知見等統合して、生活習慣病予防を中心とした健康づくり支援に向けた壮年期住民のセグメンテーションを行い、対象特性に応じた支援策の検討を進める。
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