2011 Fiscal Year Annual Research Report
がん医療における緩和ケア・在宅医療連携システムモデルの構築支援に関する研究
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22592574
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
米澤 純子 国立保健医療科学院, 生涯健康研究部, 主任研究官 (50289972)
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Keywords | 在宅緩和ケア / ケアシステム / 構築プロセス / 促進要因 |
Research Abstract |
地域における在宅緩和ケアシステム構築プロセスを明らかにし、その促進要因を検討することを目的とした。 研究方法は、市民による在宅緩和ケアに関する活動がある2地域をフィールドとし、在宅緩和ケアシステムの構築プロセス、構築メンバーの結びつき、意識、活動を明らかにするため、参与観察、インタビュー法の質的調査を手法とした。また、調査地域、団体の概要や活動経過、内容を把握するための文献調査も実施した。面接調査では、在宅緩和ケアシステムを構成する主要な機関の代表者を対象に、研究の趣旨を説明し、研究参加の同意が得られた対象者に対し、半構成式面接調査を実施した。調査内容は、①在宅緩和ケアシステム発展プロセス、②在宅緩和ケアの実践内容、③在宅緩和システムにおける機関の役割、④在宅緩和ケアシステムにおける連携の実態、⑤緩和ケアシステム構築を発展させる要件等である。 在宅緩和ケアシステム構築のプロセスからみた促進要因として、歴史的に様々な人々が集まり都市として発展してきた地域性、様々な学閥の医師が集まり医療の特徴があった。メンバーのつながりとしては、医師会や看護師会等の職種内の友好的なつながりを基盤とし、医療職や介護職等の職種に関係なく、タイムリーに実際の患者の緩和ケアに関する相談をネット上でできるツール、実際に顔を合わせる勉強会の場があり、様々な職種の顔が見える関係が促進されており、事例検討会によって、在宅緩和ケアの質の向上がなされていた。また、NPOによる市民講座が開催され、市民が在宅療養を選択肢として考え、具体的な情報提供を得る機会が提供されており、在宅緩和ケアを受け、家族を看取った遺族によるボランティア活動があり、市民が在宅緩和ケアを支える資源として成長していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
23年度計画においては、在宅緩和ケアシステムに関わる急性期病院、緩和ケア病棟、在宅医療と幅広い機関と職種を研究対象とした質的方法を選択した。様々な機関、職種を対象としたため、面接調査実施に至るまでの調整に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究により、緩和ケアシステム構築において、急性期病院から在宅療養への療養の場の移行がよりスムーズに行われることに課題があることが示唆された。今後はがん診療連携拠点病院における緩和ケアと在宅への移行の実態と課題について、調査を進める予定である。
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