2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22592582
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
谷口 好美 金沢大学, 保健学系, 准教授 (50280988)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平松 知子 金沢大学, 保健学系, 准教授 (70228815)
正源寺 美穂 金沢大学, 保健学系, 助教 (80345636)
|
Keywords | 急性期病院 / 認知症 / 看護実践能力 |
Research Abstract |
先行研究から、医療施設において認知症を抱えながら重篤な疾患の治療を受ける高齢者の看護が困難な状況であることが示唆されている。本研究では、医療施設の中でも急性期病院に焦点を絞り、目的1.急性期病院における認知症高齢者の看護を行ううえでの困難の構造を明らかにすること、2.認知症高齢者に対応するために必要な看護実践能力、能力獲得のプロセスを明らかにすることを目的として急性期病院の状況に対応した認知症看護実践能力の開発を目指す。 平成23年度の研究は目的1を中心に実施した。先行研究及び認知症看護の経験のある看護師のインタビュー・データを蓄積した結果から、急性期病院における認知症高齢者の看護を行ううえでの困難として、(1)治療に対する患者の理解・協力が得られにくく、入院時の計画通り治療が進行しにくい、(2)治療方針の見通しが立たないことから入院期間が延長する傾向があり、退院・転院まで患者の安全を守るために看護師の見守り上の困難があること、(3)治療や患者の安全確保が優先され、看護者にとってプレッシャーになることが示された。認知症の診断名がない場合であっても、看護師は患者の行動から認知機能の低下や、転倒等の事故につながる危険な行動を判断・予測しており(実例「認知の患者」と推測すれば、事故防止対策を立てる等)、急性期病院では拘束はやむを得ないことという認識があること、それでも事故を未然に防止することが困難な体験として挙げられた。認定看護師など、認知症高齢者のケアについて患者の対応を相談、高齢者の視点から助言できる看護師の存在はサポート体制として必要とされていた。以上を踏まえて、急性期病院の状況にあった認知症に対応できる看護実践を明らかにするために、データ収集・分析は平成24年度も継続して実施する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究はインタビュー調査であり、対象者の都合に応じて実施することが優先されるためデータ収集期間が限られている。さらに、インタビュー・データの逐語録を偏りなく分析するため、スーパーバイズを受けながら分析結果を何度も修正しており、予定よりも分析に時間が必要となっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は研究の最終年度であり、研究計画の変更は予定していない。研究の進行上の遅れについては、研究者及び共同研究者のスケジュールを調整のうえ、データ収集・分析の実施をこれまでよりも早めに設定し、実施する。
|
Research Products
(2 results)