2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22592616
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Research Institution | Bunri University of Hospitality |
Principal Investigator |
鈴木 麻揚 西武文理大学, 看護学部, 講師 (60336493)
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Keywords | 臨床 / リハビリテーション / 看護学 / 人間生活環境 / 認知科学 |
Research Abstract |
本年度は、メランコリー親和型うつ病患者とメランコリー親和型でないうつ病患者を対象にしたインタビューを質的帰納的に分析した。生活困難感に焦点をあて、その異同を明らかにした。 1.メランコリー親和型うつ病患者とメランコリー親和型でないうつ病患者の生活困難感の異同 (1)共通点 「自分が作り上げた理想にたどりつけない自分に、劣等感や怒りや恐れなど強い感情的な反応を持って責任をとろうとする」と「"こうでなければいけない"の"こう"からはずれた自分や他人を罰したく感じ、怒る」に共通点がみられた。 また「自分の思考や自分が思う"うつ病"に飲み込まれ、しんどさがずっと自分にへばりつく」と「全か無の考え方で自己完結するために、"無能な自分"にのみこまれ、どうにもならないと落ち込む」は、自分の考えに飲み込まれ、つらさを抱えるという点で共通していた。 (2)相違点 メランコリー親和型うつ病患者の対象が自分であることに対し、メランコリー親和型でないうつ病患者は、自分の他に他人もが対象となっていた。 またメランコリー親和型うつ病患者が、自分が作り上げた理想にたどりつけない自分に対し、責任をとろうとする一方でメランコリー親和型でないうつ病患者にはそれはみられなかった。 2.うつ病患者の生活困難感について メランコリー親和型うつ病患者とメランコリー親和型でないうつ病患者には、自分の考えに飲み込まれ、そのために感じるつらさが共通し、これが本研究で明らかにされた当事者の抱える生活困難感と呼べるだろう。 メランコリー親和型でないうつ病患者、現代うつや新型うつとよばれる患者は他罰的で、とっかかりがない、厳しい評価をすると関わりを絶ってしまうなど共感しづらい面があると言われることがある。しかしながらメランコリー親和型でないうつ病の患者も、本研究の結果をもとにすれば、「どうにもならない」深いつらさを抱えていることが明らかとなった。
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