2012 Fiscal Year Annual Research Report
外国人看護師の介護老人保健施設でのディスコミュニケーションに関する研究
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22592621
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
江本 厚子 東海大学, 健康科学部, 准教授 (70290054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末弘 美樹 兵庫県立大学, 経済学部, 准教授 (50389095)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 外国人看護師 / ディスコミュニケーション / 高齢者ケア / 異文化看護 |
Research Abstract |
本研究は、高齢者ケア施設で働きながら、日本の看護師資格取得をめざす外国人看護師が、患者への質の高い看護の提供と日本人との円滑な協働を行うための教育プログラムの開発を目的としている。平成24年度は、EPAの協定により来日し、半年間の研修後、地方都市(山間部)の介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)で、介護の仕事に従事しながら勉強をして、2年前に介護士の試験に合格したというインドネシア人女性1名と、彼女の受け入れと教育、対外交渉窓口となっている受け入れ責任者と同じ職場で働いている日本人スタッフにインタビューすることができた。この女性は、インドネシアの看護師資格をもっており、現在介護士として働きながら、日本の看護師資格取得に向けて勉強をしている。この施設では、彼女のほかにも介護士資格取得をめざすインドネシア人がおり、25年度も2名入職予定とのことである。一般的に外国人が高齢者のケアを行うときに、障害となりうるとされている言葉の壁については、閉鎖された空間である特別養護老人ホームの中での日常的なケアに必要な会話のボキャブラリーがさほど多いものではなく、また高齢者とのコミュニケーションには言語以外のコミュニケーションも汎用されていることがわかった。また、日本人スタッフとの仕事上の情報伝達も、文字によるものを極力減らして、言語による方法を用いて、外国人へ負荷をかけないようにしているという工夫がみられた。宗教や生活習慣の違いについても、受け入れ窓口となっている責任者が日本人スタッフへの周知を行い、違和感を軽減していた。しかし、今後看護師資格を取得して働くためには、さらなる日本語力をつける必要があるというニーズを持っていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究フィールドの開拓に時間がかかり、また距離的にも遠方であるため、データ収集に行く時間の確保が困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度にインタビューをさせてもらったフィールドで引き続き、データ収集を行う。実際の介護場面の参加観察を縦断的に行い、コミュニケーションの様相を明らかにしていく。対象者は、看護師資格取得のために介護士として働いている人のほかに、今年度新たに入職した人についても参加観察を行う。研究協力者として、研究フィールド施設のある広島県広島市の市会議員であり、地域看護学の専門看護師(CNS)である馬庭恭子氏を加え、フィールドの調整や、データ分析の助言を得ていく。
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