2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22600008
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
西森 利数 宮崎大学, 医学部, 教授 (20112211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 哲也 宮崎大学, 医学部, 准教授 (20264369)
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Keywords | 疼痛 / ペプチド / 脊髄 / 神経薬理 |
Research Abstract |
エンドキニンC/D(EKC/D)は12個のアミノ酸からなるペプチドで、SP(サブスタンスP)に対する拮抗作用および消炎・鎮痛効果を有するが、その効果時間は15分以内に消失する。そこで、このペプチドの消炎・鎮痛効果を延長し、消炎・鎮痛剤の開発へと結びつけるために、8位または10位の位置にあるアミノ酸をD型アミノ酸であるDTrp(トリプトファン)に置換したアミノ酸を合成した。このペプチドをラットの髄腔内に投与し、その効果について検討した。8位と10位のアミノ酸をDTrpに置換した[DTrp^<8,10>]-EKC/DのSPに対する拮抗作用は30分以内に消失したが、8位または10位のアミノ酸をDTrpに置換した[DTrp^8]-EKC/Dまたは[DTrp^<10>]-EKC/DのSPに対する拮抗作用は14時間以上も持続した。また、SP髄腔内投与による熱痛覚過敏誘発に対する[DTrp^<10>]-EKC/Dの効果を調べたところ、投与後8時間でも熱痛覚過敏は誘発されなかった。この結果は、従来DTrpの数が多ければ多いほどその効果時間は長くなると考えられていた仮説を覆すものであり、1個のDTrp置換の方がより長い効果時間が得られることを示している。次に、このペプチドのN末端から1個ずつアミノ酸を少なくしたペプチドの効果について検討したところ、最少6個のアミノ酸からなるペプチドでもSPに対する拮抗作用を示し、拮抗作用の強さはアミノ酸の数に依存することが明らかとなった。また、同様の傾向がホルマリンによる痛み反応やFos発現および炎症の抑制に対しても見られた。これらの結果は、[DTrp^8]-EKC/Dまたは[DTrp^<10>]-EKC/Dの消炎・鎮痛効果時間が臨床応用に適応できる範囲であり、この2つのペプチドを基礎とした消炎・鎮痛剤の開発のための基礎的データになり得ると言える。
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Research Products
(4 results)