2010 Fiscal Year Annual Research Report
オピオイドの新規標的分子・視床細胞のナトリウムチャネルを介する鎮痛制御機構の解明
Project/Area Number |
22600014
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
天野 託 国際医療福祉大学, 薬学部, 教授 (10294547)
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Keywords | 神経科学 / 電気生理学 / 慢性疼痛 |
Research Abstract |
本研究では、オピオイド鎮痛薬の鎮痛作用発現における視床の役割を解明する目的で、視床におけるモルヒネ、オキシコドン、フェンタニルの作用について検討を行った。 その結果、視床神経培養細胞において、モルヒネ、オキシコドンおよびフェンタニルの処置により、Na^+電流はオピオイド受容体拮抗薬であるナロキソンの影響を受けずに抑制することを見出した。一方、内因性μオピオイドペプチドであるβ-endorphin、endomorphin-1およびendomorphin-2は、Na^+電流に全く影響を与えなかった。 以上の結果より、モルヒネ、オキシコドンおよびフェンタニルの等のオピオイド鎮痛薬は視床細胞において、μ受容体を介さずに直接、電位依存性Na^+チャネルを抑制することが明らかとなった。 さらに、ラットの視床におけるモルヒネの分布を免疫組織化学的染色法に従い検討したところ、特に視床上部に位置する手綱核においてモルヒネの明瞭な免疫活性が認められ、その多くはNMDA受容体の免疫陽性反応と同一細胞膜上において共局在を示すことを見出し、逆行性神経軸索輸送物質であるfluoro-goldを下行性疼痛抑制系の起始核の一つである中脳水道周囲灰白質へ微量注入したところ、手綱核から中脳水道周囲灰白質への神経投射が認められた。以上の結果から、視床手綱核におけるグルタミン酸由来の神経応答はモルヒネによる修飾を受け、その投射先である中脳水道周囲灰白質へ伝達される可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)