2011 Fiscal Year Annual Research Report
オピオイドの新規標的分子・視床細胞のナトリウムチャネルを介する鎮痛制御機構の解明
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22600014
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
天野 託 国際医療福祉大学, 薬学部, 教授 (10294547)
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Keywords | ナトリウムチャネル / モルヒネ / HEK293細胞 / 視床スライス / 微小興奮性シナプス後電流 / ナトリウムチャネルサブタイプ |
Research Abstract |
オピオイド鎮痛薬の鎮痛作用発現における視床の役割を解明する目的で、HEK293細胞にナトリウムチャネルサブタイプ(Nav1.2,Nav1.4,Nav1.7)をエレクトロポレーション法を用いて強制発現させて、安定株を作成した。Nav1.4へのモルヒネの影響を検討したところ。Na+チャネルの活性化に関しては、モルヒネ存在下、peak電流の減少が認められた。0.1-100µMモルヒネ処理によりの濃度依存的な抑制が認められた。 また、モルヒネによるNav1.4電位依存性Na+チャネル電流の抑制効果を経時的に観察したところ、電位依存性Na+チャネル電流の抑制はモルヒネの処置によって速やかに生じ、また薬物をwash outすることにより、速やかに消失した。さらに、Na+チャネルの不活性化に関しても、Nav1.4 peak電流の抑制が認められた。さらに、モルヒネの処理により、不活性化曲線も過分極側へのシフトが認められた。 視床の手綱核ならびに視床外側中心核におけるグルタミン酸由来の興奮性神経伝達に対する モルヒネの影響について、急性スライス切片における whole-cell patch-clamp 法に従い検討した。その結果、手綱核において、モルヒネ の処置により微小興奮性シナプス後電流 (miniature excitatory postsynaptic current: mEPSC) の発現頻度ならびにその振幅が減少する細胞が観察された。視床外側中心核においては、morphine の処置により mEPSC の振幅には変化が認められないものの mEPSC の発現頻度が減少する細胞が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
視床スライスでのパッチクランプが困難であったため、HEK293細胞にナトリウムチャネルを強制発現させて、各サブタイプへのモルヒネの影響を検討している、Na+チャネルサブタイプの安定株細胞の樹立は時間が掛かっているが、おおむね順調に進行していて、Nav1.4に対するモルヒネの反応はデータの取得は順調すすでいて、本年度の国際料福祉大学学会に発表予定である。また、当初困難であった、スライスパッチも順調に進行していて、昨年達成予定であった計画を達成しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
ほぼ、予定通り推移しているため、HEK293細胞にナトリウムチャネルサブタイプの安定株の作成を進めつつ、最終年の予定である、オピオイド鎮痛薬のナトリウムチャネル開口とNa+電流の抑制の関係について、局所麻酔薬である lidocaine と比較検討していく。
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Research Products
(2 results)