2011 Fiscal Year Annual Research Report
地域素材から理解を深めるスクール・ミュージアムの導入-授業に活かす博物館の視点-
Project/Area Number |
22601013
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Natural History |
Principal Investigator |
田口 公則 神奈川県立生命の星・地球博物館, 企画情報部, 主任学芸員 (70300960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 光春 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (40260343)
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Keywords | 地域学習資源 / 博学連携 / 展示 / 地学教育 / 地域地学素材 |
Research Abstract |
本研究は、地域の生活世界に根ざした視点である"土着科学"を軸とした学校ミュージアムを機能させることにより、身近な地学の事象が生活とのかかわりが深いことを再認識させるとともに、学校教育での地域素材の教材活用を高あることを目的とする。具体な目標は次の通り。 (1)生活に根ざしている地域地学素材について、地学的、民俗学的基礎情報の調査収集。 (2)"地域地学素材"の内容を取り入れた総合的学習と教科学習におけるプログラム作成。 (3)博物館が持つ視点"土着科学"のかかわりを、学校教育の教科学習へ反映するパターン例示することを目的に学校ミュージアムと教員研修プログラムの実践。 本年度の研究では、主に上記(1)の地域素材に関する基礎調査と(3)の学校ミュージアムの実践を行った。地域地学素材として秦野市の「戸川砥」に焦点をあて、戸川砥の採石場跡の追跡調査、元砥石採石業の方々への聞き取り調査、砥石原石岩脈の分布調査、河川における砥石礫の分布調査、砥石採石道具類の収集、流通砥石の追跡調査等を行った。学校ミュージアムの実践として、秦野市立本町小学校にて展示「丹沢からのおくりもの~戸川の砥石展~」を企画実施した。この展示による地元への普及効果は高く、にわかに「戸川砥ブーム」となっている。学校展示の後、公民館、ビジターセンター、近隣の博物館等にて「戸川砥」を紹介する展示実施につながった。このように学校展示をきっかけに地域への波及が見られたことは大きな成果である。 次年度にむけ土着科学の視点をふまえた地域地学素材の教材化の準備をはじめている。また、学校に地域素材を普及させるための方策を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地域地学素材、とくに戸川砥について、地学的・民俗学的基礎調査をすすめいくつかの成果が得られたほか、地域小学校にて地域素材を軸とした展示実践を行うまでに至り、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに秦野市における地域地学素材として「戸川砥」に焦点をあてて研究をすすめてきた。今後、地域地学素材の教材を考える段として、教員研修プログラムの検討をすすめる。また、地域地学素材の教材化を深めるとともに学校教育の学習コンテンツとして、どのように地域地学素材を扱うことができるのか学習プログラムを検討する。
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