2011 Fiscal Year Annual Research Report
知のかけ橋・博物館の特性をいかした複合的理科課題の学習方法について
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22601015
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Natural History |
Principal Investigator |
広谷 浩子 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 主任学芸員 (10205099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 ゆき 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 学芸員 (70342946)
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Keywords | 動物標本 / 理科学習 / 教師用プログラム / 複合的理科課題 / 人類進化 / 博学連携 |
Research Abstract |
研究項目は、学校の理科教育の現状分析をもとにした博物館に対するニーズの把握、2.複合的理科課題の学習プログラムの作成・実施と効果検証、3.学校と研究者をつなぐ場の設定の3つである。今年度は、2と3の実施に重点を移して、研究を行なった。その成果は下記のとおりである。 1.昨年度までの精査により、新学習指導要領の実施の過程が把握できたので、これをまとめ、実際のプログラム実施や教員へのはたらきかけの際により具体的項目を加えたり、必要情報を参照できるようにした。 2.昨年度作成した小学校4年生むけのプログラムの実践として、博物館の近隣の6小学校(児童502名)で出張授業を行なった。訪問校の生徒数や担当教員からの要望にこたえながら、教材の整備を行ない、テキスト作成、説明用の大判チャート、紙芝居などとともに授業の進め方を工夫した。カリキュラムを精査し、授業の流れを検討することによって、人類進化論の骨子となる部分を小学校でも教えることができた。以上の結果をまとめ、論文1として公表した。 3.出張授業によって、博物館から学校に対する学習支援を実施することができたが、これと並行して小中高の教員を対象とした研修や講座を行なって、博物館のものや知識を活用したどのような授業ができるのか、教材や授業案作成などの具体例を提示した。これらの取り組みを通し、博物館等で得られた知識や技術を学校へ持ち帰り実践する際の具体的・個別的な支援が必要になることが明らかになった。博物館の利用はまだまだ少なく、情報も伝わっていないことがわかったので、最終年度はより積極的に情報提供とネットワークづくりを進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初研究項目としてあげた3つのうち、「1.ニーズ把握」、「2.プログラム作成実施」については順調だが、「3.研究者と学校をつなぐ場の設定」が遅れている。23年度は、研究分担者及び協力者と共に、プログラム作成と実施を集中的に行ない秋から冬にかけて6校、500名の生徒に対し出張授業を行った。当初の予定を変更して、プログラム実施を最優先とした結果、研究全体を見通すまとめもすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、研究項目のうち、「研究者と学校をつなぐかけ橋づくり」がやや遅れているので、24年度は「学習プログラムの作成実施」から力をシフトさせて取り組みたい。かけ橋づくりは、博物館からの働きかけだけでは、実現がむずかしい。出張授業や教員向け講座での経験をいかして、教員からの声に対して実際的な支援のできる仕組みづくり(情報提供サイト開設、教材勉強会の開催など)を考え実践する。 学習プログラムは、実施の段階での修正が非常に多く、当初の予想より時間がかかる作業であることがわかった。今年度は、第2の複合的理科学習課題(SP2)として生物進化と絶滅をテーマに中学校向けのプログラムを作成し、出張授業の形で実施する。環境問題や外来生物等の候補課題については、プログラム案の呈示のみにとどめる。
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Research Products
(2 results)