2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト致死性毒ポリカバノシド類の合成と生理活性発現機構の解明
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22603001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
葛西 祐介 東北大学, 大学院・理学研究科, COEフェロー (50379286)
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Keywords | 天然物化学 / ポリカバノシド / 海産毒 / マクロリド配糖体 / 有機合成 |
Research Abstract |
食中毒の原因物質としてオゴノリから単離された化合物ポリカバノシドAは、テトラヒドロピラン環と5員環ヘミアセタール構造を含む16員環マクロリドに、疎水性トリエン側鎖とL-フコシル-D-キシロースが結合した構造を有する海洋天然物である。非常に強力なヒト致死活性を有することからその毒性発現機構の解明が望まれるが、天然からの試料採取が困難であり、試料不足が研究の進展を妨げている。本研究ではポリカバノシドAの生物活性発現機構を解明するために、有機合成によって天然物の試料供給を可能とするための高効率的な全合成ルートの構築を目指している。当該年度では、16員環マクロリド骨格の構築を中心に研究を行った。マクロリド部を2つの部分構造に分けて合成することとし、各フラグメントは触媒的不斉反応を鍵反応として効率的に合成することができた。2つのフラグメントの連結には鈴木-宮浦カップリング反応を用いた。C1-C8部から誘導したアルキルボランとC9-C16部エノールボスフェートとの反応を種々検討したが、低収率にとどまった。そこでC9-C16部をより反応性の高いエノールトリフラートへと誘導して反応を行ったところ、高収率でカップリング体を与えた。得られたカップリング体の官能基変換を経てヒドロキシカルボン酸へと誘導した後、マクロリドの構築を検討した。山口マクロラクトン化を行ったところ、低収率ながらマクロリドを構築することに成功した。
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Research Products
(3 results)