Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)の原因物質である42残基のアミロイドβペプチド(Aβ42)は,凝集することによって神経細胞毒性を示す.近年,凝集中間体であるオリゴマー(2~3量体)が毒性本体とされることから,オリゴマーを標的とした阻害剤や抗体の開発が進められている.一方,抗体の長所を保持しつつ短所を補った方法として,RNAアプタマーが注目されている.本研究は,Aβ42のオリゴマーを標的としたRNAアプタマーの開発を目的として,今年度はAβ42オリゴマーの合成を行った.2量体の合成には,ジアミノピメリン酸をスペーサーとした架橋法を用いて,凝集活性に影響のないAla30に着目し,30位で架橋したAβ22-42のモデルダイマーを合成した.一方,Leu-17を光反応性のL-photo-leucine残基で置換したAβ42変異体を合成し,光照射により野生型Aβ42と架橋させたところ,2量体に相当するピークをMALDI-TOF-MSにおいて観測した.今後,光照射時間等の条件検討を行うことによって,2量体の収率を上げるとともに,架橋部位についてMS-MS解析を行う.ところで,オリゴマー形成には,Aβ42自身がラジカル化することが重要であることから,酸化ストレスのAD病態への関与について動物実験で検討した.数種類の抗酸化剤を治療的にそれぞれ長期間投与したところ,ビタミンCがADモデルマウスのオリゴマー形成ならびに酸化ストレスを緩和すること,さらにインスリン受容体における超寿命変異(P1195L)がAβ蓄積及び酸化ストレスを軽減することが明らかになった
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