2012 Fiscal Year Annual Research Report
無性プラナリアに生殖器官を誘導するケミカルシグナルの研究
Project/Area Number |
22603010
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
前澤 孝信 弘前大学, 農学生命科学部, 研究員 (90548398)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | プラナリア / 生殖様式転換 / 卵巣の発達 / D-アミノ酸 |
Research Abstract |
有性個体に含まれる化学物質の刺激により無性プラナリア(OH株)に卵巣、精巣およびその他の生殖器官の発達を誘導できる(有性化)。我々はD体トリプトファン(D-Trp)がOH株に卵巣発達を誘導することを明らかにしている。本研究の目的の1つはD-Trpの標的細胞を明らかにすることである。前年度に、抗D-Trp抗体を用いてD-Trpの局在の検出を試みたが顕著なシグナルは検出できなかった。一方、抗Trp抗体(L体およびD体を認識)では卵黄腺にシグナルが検出された。プラナリア体内のD-Trpの存在量を調べたところ、L体の数千分の1であることが分かった。このことから微量なD-Trpの直接的な検出は困難と判断し、D-Trpを分解するD-アミノ酸酸化酵素(DAO)に着目した間接的証明を試みた。DAO遺伝子の発現は無性個体の体全体に見られた。有性化が進行すると全身の発現は変化せずに発達中の卵巣に一過的に強く発現した。このことから、発達中の卵巣周囲のD-Trp量が有性化に関与することが示唆され、D-Trpが卵巣を標的にしている可能性が考えられた。本研究のもう1つの目的は、新たな生殖器官誘導物質の単離である。まず、大量に材料を確保できる陸産プラナリア有性個体(B. nobile)830gを用いてTrpが含まれにくい有機層を80% EtOHによって抽出した。その後、各種溶媒で分配、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより5つの画分に分けた。そのうち2つの画分が有性化活性を示したが、さらにODSカラムにより分離した複数の画分では有性化活性を示さず卵巣誘導活性のみが認められた。このことから、各画分に含まれる卵巣を誘導する化学物質の相加、相乗効果で有性化が進行すると考えられた。今後、卵巣を誘導する各画分をさらに精製して物質を明らかにしたい。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|