2011 Fiscal Year Annual Research Report
蜘蛛類毒腺の生理活性ペプチドの探索・解析および新規ペプチド創製の試み
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22603016
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
木村 忠史 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (60344214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 泰 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (10178030)
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Keywords | タランチュラ / 毒腺 / cDNAライブラリー / 生理活性ペプチド / トランスクリプトーム |
Research Abstract |
今年度の研究計画では、まず第一に、H22年度に得たシーケンスデータとこれまでに得ていたデータを元に、「クモ毒腺のトランスクリプトーム解析」の論文を作成することを目標とした。これまでにタランチュラ毒腺のcDNAライブラリーの中から制限酵素切断パターンに基づき約1500個のクローンを選択しDNA配列の解析を行い869個の高い品質の配列データを得た。このうち284個(=32.7%)が毒様の配列を示していた。これは他種のクモで報告されている30.6%や32.5%とほぼ同等の値であり本研究の妥当性が示された。更にPCRクローニングにより34個の毒様配列を得た。これらから重複無く48個の独立した新規の毒様配列を得、GTx1~GTx7,GTx-TCTP,GTx-CRISPの9つのグループに分類した。この中で特にGTx3系のペプチドは哺乳類のMIT1やBv8,Prokineticinsに加え無脊椎動物のastakinesにも相同性が認められたことからその生理活性の一部は造血能である可能性について予想をした。これらついてまとめた論文を出版した。 第二の目標としていた大量発現系については、枯草菌Brevibacillus発現系に組込みペプチドの発現を確認していたクモTCTPおよびCRISPの凍結保存菌が震災の影響で解凍し発現能を失っていたのでこれを中止した。一方、生理活性ペプチドの大腸菌を用いたペリプラズム発現や細胞外分泌発現の系を構築し、大量発現を試みたところ両者ともに発現を確認できた。これらの方法はスケールアップが比較的簡易に行えることから今後とも工夫しながらスケールアップを行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タランチュラ毒腺のトランスクリプトーム解析の論文を出版した。
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Strategy for Future Research Activity |
立体構造解析に利用する予定であったNMR装置が震災により破損、使用不能となった。また、これまでのトランスクリプトーム解析では新規スキャフォールドは発見できておらず、次世代シーケンサーの詳細なデータ解析を進めているところである。以上のことからNMRによる立体構造解析は延期とし、代わりに次世代シーケンサーで得たデータを補強する意味も含め、当該タランチュラのゲノム解析を開始する予定である。また、新規生理活性ペプチドの創製については試みる予定である。
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Research Products
(2 results)