2010 Fiscal Year Annual Research Report
大強度中性子場でのイメージングを可能にするボロン吸蔵ゼオライト輝尽性蛍光体の開発
Project/Area Number |
22604001
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
大西 彰正 山形大学, 理学部, 准教授 (90261677)
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Keywords | 輝尽性蛍光体 / 中性子 / ゼオライト |
Research Abstract |
ゼオライトはそのイオン交換能により蛍光イオンを容易に取り込むことができる。しかも軽元素から構成されるので低ガンマー感度の蛍光体として大変有用な物質と考えられる。ゼオライトの分子吸蔵能により蛍光特性を制御することもできる。本研究はこれらの点に着眼し、銀ゼオライト輝尽蛍光体にボロンを吸蔵させることで大強度中性子場に対応した輝尽性蛍光体を開発することを目的としている。本年度はその研究基盤を確立するため、ボロン吸蔵銀ゼオライト試料の作製と分光研究による光学特性評価に取り組んだ。銀ゼオライトは熱処理による還元反応により銀原子または銀クラスターの発光中心を形成することが知られていたが、真空中の熱処理ではクラスター形成が進行するのに対して、大気中の熱処理では銀原子の形成に止まることが判明した。発光中心形成に最適な温度は500℃であり、500℃以上では発光中心が減少することも明らかになった。吸収測定から、発光中心は熱処理直後に形成するのではなく、まず何らかの前駆体が生成し、それが発光中心へと移行する様子が捉えられた。また発光スペクトルの温度変化が、発光中心間にエネルギー伝達過程が存在することを示唆した。紫外光照射に伴う発光強度変化を調べたところ、輝尽発光中心形成に伴う著しい強度変化が観測された。吸蔵ボロンと発光中心との相互作用を調べるため1ケージあたり1分子から4分子の酸化硼素を吸蔵させた銀ゼオライト試料を作製した。吸蔵量の増加するに対して銀ゼオライトの蛍光特性はほとんど変化しないことが明らかになった。このことは中性子に対して高い反応断面積をもつボロンを高濃度で吸蔵した輝尽性蛍光体が開発できる可能性を示唆した。
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Research Products
(4 results)