2011 Fiscal Year Annual Research Report
量子ビームによる高温超伝導体の電荷とスピンの異常励起の研究
Project/Area Number |
22604007
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
脇本 秀一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (40399415)
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Keywords | 銅酸化物高温超伝 / 中性子散乱 / 共鳴非弾性X線散乱 / 磁気励起 / 電荷励起 |
Research Abstract |
平成23年度は震災の影響で研究用原子炉JRR-3が稼働しなかったため、予定していた偏極中性子散乱実験が行えなかった。しかしながら、今後の高エネルギー偏極中性子非弾性実験に必要な^3HeスピンフィルターとCuモノクロメータを、JRR-3炉室内に設置されている三軸型分光器TAS-1へ整備した。また偏極非弾性実験に必要な体La_<2-x>Sr_xCuO_4単結晶を育成した。これにより、平成24年度にJRR-3が再稼働した際に高エネルギー偏極中性子実験を行う準備を整えた。 共鳴非弾性X線散乱を用いた電荷励起の研究では、ホールドープ系銅酸化物高温超伝導体La_<2-x>Sr_xCuO_4における1電子ボルト付近の電荷励起のホール濃度依存性を調べた。その結果、1電子ボルト付近の電荷励起はホール濃度の増加に伴い単調増加するバンド内励起であることを明らかにし、そのバンド内励起の強度がホールドープ系に特徴的にみられる電荷ストライプの周期に一致する運動量変化で大きくなることを発見した。今後、ストライプ構造の影響を明らかにするために、ストライプを持たない系との比較を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度に震災の影響のため、中性子非弾性散乱による実験が行えなかったことから、磁気励起の測定はやや遅れている。しかしながら、電荷励起の測定は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、高エネルギー偏極中性子散乱実験を用いた、ホールドープ系の銅酸化物高温超伝導体に見られる砂時計型磁気励起の偏極性の研究を中心に行っていく。
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Research Products
(3 results)