2012 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界金属における金属絶縁体転移のミューエスアール法による研究
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22604011
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
幸田 章宏 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 研究機関講師 (10415044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 直 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 研究員 (60292760)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 強相関電子系 / 物性実験 / 粒子線 / ミューエスアール法 / 金属絶縁体転移 |
Research Abstract |
高圧実験装置の改良、検討を重ねる一方で、これまで検討の進んでいなかった高温の実現方法について基礎的な実験をおこなった。手法としては当初の計画通りセルを模擬したグラファイトの発熱体に電流を印加するジュール加熱の方法を採用した。また電流とミュオンビームの関係についてシミュレーションによる予測を行い、同じ研究グループ内で熱ミュオニウム生成のための高温実験をおこなっている班と実験手法についての情報交換をおこなった。 その結果、ジュール熱による高温の生成方法では電流のつくる周辺磁場が無視できず、ミュオニウムほど敏感でないにしても、反磁性ミュオンでもやはり磁場の影響を受けてしまうことが判明した。 この問題を根本的に解決するためには、熱ミュオニウム生成実験で採用しているジュール加熱のための電流をマイクロ秒の時間領域で遮断するような電源が必要となる。電源製造メーカーとの打合せの結果、本研究課題の研究予算の範囲でそのような高度な機能を有する電源を調達することは困難であることが分かった。そこでパルス的な電流の印加についてはその手法を踏襲しつつ、秒の時間領域でイベントを選別し、電流の影響を受けたものと受けていないものとにヒストグラムを分割するという方法で実験を進めることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
高圧発生装置の実現、改良に研究の重点を置きすぎたため、高温を発生する技術的な検討が手薄になってしまった。両者を独立に改良検討を加えることは研究の進め方として得策とはいえなかった。高温高圧装置の実現には両者の一体的かつ不可分な技術的な改良検討が必要であった。 また加熱用電流のつくる磁場の問題は、熱ミュオニウムの研究者の間では基本の基本といった話であり、周辺の研究者との交流、情報交換、情報収集に不足があったという批判も受けざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のようにパルス的なジュール加熱電流の印加の手法で高温を実現できるよう、基本技術の開発を急ぐ。デューティー比と到達温度、また電流値とパルス印加にともなう圧力変動など、最適化を要する項目はいくつかある。 また上記の問題をすべて解決することが困難と判明した場合の代替策として、直熱型ではなく傍熱型の高温装置も検討を始めておく。
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